1987年に刊行した英国レディバード社とのタイアップ企画第3弾、「レディバードブックス特選100点セット」のうち、主な作品の内容を紹介してみよう。今回は、アメリカの作家バウム(1856―1919)が1900年に発表した「オズの魔法使い」。この作品はアメリカに初めてファンダジックな作品を生んだと評価され、以後「オズの新しい魔法使い」「オズの国」などを次々に発表、アメリカ中の子どもたちに熱狂的に読まれ、やがて世界中に読者を広げていった。
●「オズの魔法使い」のあらすじ
アメリカのカンサス州にある、大草原に住んでいたドロシーと飼い犬のトートは、ある日大つむじ風のために家ごと吹き飛ばされて、マンチキンという小人の国についた。
マンチキンは東西南北にひとりずつ魔法使いがいて、東と西には悪い魔法使い、南と北は良い魔法使いがいた。そして、中央にエメラルドの都があり、オズという魔法使いがいるという。東の魔法使いは、ドロシーの家が飛んできたとき、下敷きになって死んでしまった。ドロシーはオズが、カンザスの家へ帰る道を教えてくれるかもしれないという情報をもとに、エメラルドの都へ旅をすることになった。その途中、頭のからっぽなかかし、心のないブリキのきこり、おくびょうなライオンにあい、いっしょに都をめざすことになった。かかしは脳みそを、ブリキには心を、ライオンには勇気をもらうために。
エメラルドの都につくと、門番はみんなに緑色のめがねをかけさせた。だから何でも緑色に見えた。オズは、ある時ははげ頭、ある時は貴婦人、ある時は火の玉になって現れ、ドロシーたちが西の悪い魔法使いを殺したら、それぞれの望みをかなえてやると約束した。
旅の途中、ドロシーたちは西の魔法使いの命令をうけた飢えたオオカミ、カラス、黒い蜂の群れに襲われたが、これを迎えうちにしたばかりか、ついに西の魔法使いを水でとかして退治する。エメラルドの都にもどり、オズにのぞみをかなえるように頼んだところ、オズはただの小さな奇術師にすぎないことがわかる。
みんながっかりしたところ、旅をしている間に、すでにかかしは優れた頭脳が、きこりは立派な心が、ライオンには勇気がそなわっていた。そして、南の魔法使いに、両方のかかとを3度打ちつけ、行きたいところを告げるようにいわれると、あっという間にドロシーはカンサスの家へ……。