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J・チェーンの実態

J・チェーンの決起大会にはじめて参加してみて、その熱気とチームワークあふれる組織にひとまず安心した。ちょっとやそっとでは崩壊することはないだろう、と確信したためでもある。ただし、帰りの新幹線の中で、私の座席のすぐうしろにJ・チェーンの加盟店の人たちがいて、「こんなことで貴重な時間をつぶされるのはたまらない」「劇の練習だ、人の応援だ、勉強会だ、何やかやと狩り出される。こんなことしたって一銭にもなりはしない」「交通費だってみんな自腹だしな」などと、ぼやきがもれ聞こえてきたことに一抹の不安を感じた。

J・チェーンの現状を知る必要性を感じ、興信所に調査依頼をすることにした。まもなく、調査報告書がとどき、業績が急激に伸びている状況が読みとれた。創業後の2年間は10億円前後の売り上げだったのが、3年目に45億円、4年目は120億円前後の予測という。興信所というのは、銀行から入手した情報を元に企業の財務体質を把握するのだろう。J・チェーンの銀行からの借り入れはなく預金取引のみのため、財務内容は不明という。
[資金繰りの根幹は加盟店からの保証金および契約金で、この資金を設備および運転資金に流用出来るため、当面無難な推移とみられる。加盟店からの回収も現金であり、収益力もあるようなので資金繰りに支障はないが、設備投資などのために関連子会社への流出が多額であること、業法がマルチ商法として当局のヤリ玉にあがっているとも伝えられ、不安要因を内包する] と報告書は総括していた。

J・チェーンの系列会社であるJ総業と当社の支払条件は、契約当初より月末締、翌月末現金だった。ところが1ヶ月ほど前から、総額の半額は現金・半額は手形(俗にいう半手半金)に、やがてすべての支払いは90日の振出手形という形に押し切られてしまった。契約により、J・チェーンに納品する分の絵本の奥付には、[販売元 J・チェーン] と明記してある。そのため、当方としてはJ・チェーン以外に販売先をもとめることができない。交渉の余地が残されていないというのはまったく歯がゆいことであり、販売先の1社で95%を越えるような偏った経営の危うさを思い知るに至った。

投稿日:2005年06月23日(木) 13:58

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)