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初の海外旅行・泣き笑い (2)

ロンドンのホテルに到着するまでの、悪夢のような苦闘物語の後は、まさに旅の楽しさ、醍醐味を満喫しました。

3日目のレディバード社の訪問 (2006年2月27日ブログ参照) では、マルコム・ケリー社長以下重役陣の暖かい出迎えを受け、いかにもイングランドらしい落ち着いた雰囲気の小都市ラフボローの郊外に、3000坪という大規模な敷地に、ゆったりとたたずむ本社オフィス、印刷工場、製本工場などをじっくり見学させてもらいました。午後は、おとぎ話に出てきそうな、由緒ある中世のお城を改造したすばらしいレストランで大歓待を受けたのは、先に記した通りです。

その後、ローマ市内にあるバチカン市国の世界最大の教会 「サンピエトロ寺院」 に度肝をぬかれ、バチカン美術館の1キロも続く美の回廊や、ミケランジェロの大作のあるシスチナの礼拝堂の天井画や壁画に圧倒されました。マドリッドの 「プラド美術館」 では、ベラスケスやゴヤらの大作の数々に心打たれ、古都トレドの大聖堂ではスペインの大航海時代の宝玉殿や、トメ教会にあるグレコの代表作にも感銘しました。

そして最終日の夜、マドリッドの王宮の近くにあるタブラオで、本場の 「フラメンコ」 に出あったのでした。目の前の舞台で演じる迫力ある踊り、タップをはるかに越えたすさまじい勢いで床をたたきつける足技、何ともエキゾチックな歌とギターのコンビネーション……。2時間ほどがあっというまに過ぎ、全員大満足で帰国したものでした。

あの日に出あったフラメンコには、その後も日本でたびたび見る機会がありましたが、レベルの違いなのか、あれほど感動するものではありませんでした。2003年のスペイン旅行でも、グラナダのショーはそれなりに楽しめたものの、200人以上も入る劇場化した規模とマイクを通した歌声には多少違和感を持ちました。今回も、グラナダには 「洞窟フラメンコショー」 があるというので出かけてみましたが、うなぎの寝床のような穴倉に100人ほどすし詰め状態の中で観るショーは、いかにも観光地化しすぎているようで、なじめませんでした。

今回のマドリッドでも、最終日の前日にオプショナルで 「フラメンコショー」 があるというので申し込みました。もちろん、あのフラメンコの店だったらラッキーだし、もし不満足だったら、最終日の夜に、ガイドブックで目星をつけたあの店に行ってみようと思っていました。それが、まさにラッキー。20年前の店 「トレス・ベルメハス」 だったのです。アルファンブラ宮殿を擬した室内装飾を見たとたん、20年前の記憶がすぐによみがえってきました。そして、華やかで情熱的なショーは、あの日を彷彿とさせるもので、今回も参加者全員大満足だったことが、拍手や歓声そして表情から読みとれました。

マドリッドには、フラメンコを鑑賞できる店 (タブラオ) は、ピンからキリまで20〜30個所もあるようです。中でも 「トレス・ベルメハス」 は必見、今回は現地ガイドに連れられて大型バスで案内してもらいましたが、最寄の地下鉄駅は 「ソル」、有名なデパート 「プエルタ・デル・ソル」 の裏手にあるようです。

なお、日本にあって本場のフラメンコを鑑賞できる 「タブラオ」 をご存知でしょうか。東京・新宿の伊勢丹会館6階にある 「エル・フラメンコ」 は、1967年創業以来、毎晩2回のショーが行われています。半年ごとに出演者全員が変わるようで、すでに1000名を越える人たちが来日しているそうです。うまくすると、本場以上の舞台が観られるかもしれません。

投稿日:2008年05月01日(木) 11:01

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)