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名曲と大音楽家の伝記

拠点長会の席上で語った内容の第7回目・最終回。

「せかい伝記図書館」とは、セミクラシックの名曲と結びつけるのがよいと思います。たとえば第1巻目をとりあげただけでも説得力のあるテーマをみつけることができます。この巻には、世界の3大音楽家といわれるベートーベン、モーツァルト、シューベルトの名曲がそれぞれ1曲ずつ取りあげてあります。

ベートーベン作曲の有名な 「エリーゼのために」 が、ほとんど耳がきこえなくなった40歳のころに書かれた作品であるということや、モーツァルトがあまりの貧しさのために、遺骸は共同墓地に捨てられるように葬られ、今では骨1本さえ行方不明であるという事実、シューベルトもまた、生存中はほとんど評価されず、貧しさに追われた果てにチフスで命を落としました。

音楽史に燦然と輝く3人の巨匠が、生存中はそろって貧しさや苦しさと闘いながらも、おのれの生きかたを信じてすばらしい作品を書きつづけたわけで、そういう事実を知るとき、深い感動をおぼえずにはいられません。これは、まさに「伝記」の最大のテーマだと思います。

第1巻目にはもうひとり、パダレフスカという22歳でなくなった女流音楽家の「乙女の祈り」が収録されていますが、この人の作品は、この曲以外はほとんど知られていません。この曲のすばらしさによって、音楽史に「湖畔に立つ1本の白樺のようにたたずんでいる」という評価は、人生そのものを感じます。

伝記的テーマといえば、「かくれんぼ」(第6巻)の解説の中で、良寛さんが子どもたちとかくれんぼをして、つぎの日の朝になってもまだかくれていたという話がのっていますが、こうしたエピソードと伝記を結びつけるのもひとつの方法でしょう。

私は、セールスというのは相手を「説得して」売り込むのではなく、お客さんに「納得して」購入いただくことだと考えております。そして、商品を売り込む以前に、営業マンのみなさん一人ひとりの人柄を売り込んでいただきたい。どんなに商品が気に入っても、きらいな人から顧客は物を買いません。今申し上げたようなことを参考に、ご自分の言葉で商品の内容をしっかり説明することにより、お客さんとうまくコミュニケーションとって納得いただき、大きな成果をあげてくれることを期待申し上げます。

投稿日:2005年11月29日(火) 09:21

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)