児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  会社の歴史 >  英国レディバード社を訪問

英国レディバード社を訪問

今思い起こすと、「レディバードブックス特選100点セット」を刊行した1987年から数年間が、英国レディバード社の最も繁栄していた時期だったように思う。マルコム・ケリー社長のもと、幹部も社員も生き生きと仕事に取り組み、次々と新企画を打ち出していた。1988年の晩秋、私はコンテストで優秀な成績をおさめた当社の営業幹部や営業マン7名を引き連れ、レディバード社を訪れた。私にとって初めての海外旅行でもあったため、特に印象深いものがあった。

レディバード社は、ロンドンの北西約150kmの典型的なイングランド地方の小都市ラフボローにあった。5000坪ほどの敷地に、企画・編集・デザイン部門はもちろん、印刷から製本までもすべて自前で生産する一貫工場を所有していた。出版社というのは、日本でも英国でも、印刷や製本は外注するところがほとんどで、自社工場をもっている会社はきわめて例外的だった。

日本では見たこともないようなB倍判という大きなオフセット印刷機が数台。1枚の用紙から、レディバードブックスが2冊作れるという。驚いたのは、オフセット印刷の刷版が大きな倉庫に保存されていることだった。通常、刷版というのは印刷する都度フィルムからこしらえ、印刷を終えると溶かしてしまうのだが、それを収容するだけの広いスペースがあるのと、ひんぱんに再版されたからなのだろう。

製本工場も目をみはるものがあった。12cm×18cmの上製本に規格化されたレディバードブックスは、完全にオートメーション化されていて、1日10万冊を製造する能力があるという。年間2000万冊以上を世界じゅうに普及させていると聞いていたが、この工場ならと納得できた。

工場見学の終了後、マルコム・ケリー社長はスタッフとともに、われわれをコールズコートという素晴らしいレストランで歓待してくれた。13世紀に建てられたという森の中の風格ある教会の一室、まさにおとぎの国のようなレストランでローストビーフに、高級ワインにと舌鼓をうった。われわれはみな大満足、忘れられない思い出を残してくれた

投稿日:2006年02月27日(月) 09:33

 <  前の記事 80日間世界一周 8  |  トップページ  |  次の記事 「説得」から「納得」の営業へ  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/650

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)