「みんなのおんがくかい」が完成した1983年当時、当社の販売組織は、依然としてフランチャイズシステムによる支社や営業所を全国に設置し、そこから個々の家庭へ訪問販売する手法を中心に展開していた。当時、いずみ書房が拠点をおいていた都市は、北から盛岡、秋田、仙台、福島、宇都宮、前橋、浦和、三鷹、八王子、千葉、木更津、川崎、横浜、新潟、長野、上田、松本、飯田、諏訪、静岡、大阪、宇部の各市であった。
大きな市街地に拠点を置き、採算をとりながら、長い間それを維持していくことは容易なことではない。そのため、個々の営業マンへは、目標をしっかり持って日々の活動ができるように、6ヶ月間の長期販売コンテストを実施していた。そして、「いずみ通信」という社内報を毎月発行し、コンテストの速報や、さまざまな営業活動に役立つ情報を詳細に伝えた。さらに、コンテストの表彰をかねて、6ヶ月ごとに全国拠点長会を温泉地でひらき、会社の方針を伝えたり、拠点長の目標管理や決起大会、夜は懇親会を催し、モチベーションを長期間保つための工夫をこらしたものである。
1983年の7月に開催した拠点長会の席上で、私は「みんなのおんがくかい」を完成させたことにより、これまで刊行した「いずみ文庫」(ポケット絵本)の4シリーズと「みんなのおんがくかい」を、さまざまに組み合わせをすることを提案した。これまでは単品売りが中心だった販売形態から、2シリーズ、3シリーズと組み合わせて販売することにより、売上倍増を願ったわけである。そのためには顧客に、どういう話をしてほしいかの提案を、拠点長の前で語った。
次回から何回かにわたり、その内容を記述することにしよう。