フランチャイズチェーン・システムというのは、アメリカで1960年代に生まれた販売手法で、1970年代の半ばころから、日本でも多くの業種で活発に導入されるようになった。商品やサービスについて特長をもつ企業が、チェーンの加盟店に対し、一定地域内において、その商品やサービスの独占販売権を与え、経営方法やその指導をするかわりに、加盟料、看板料、指導料などを徴収するシステムである。フランチャイズを与える側の企業をフランチャイザー、加盟店をフランチャイジーという。当時、化学ぞうきんの「ダスキン」や、居酒屋の「養老の滝」などが、このシステムによって急成長していた。
いずみ書房の販売組織をフランチャイズチェーンとした場合、加盟店がそれぞれの地区にある信販会社の支店と口座開設することにより、代金の回収を速やかにできる。それが可能なら、この組織づくりに取り組む価値は充分あるに違いない。当社の商材は、今のところ「ポケット絵本」しかないのだから、加盟店には、広い販売地域を与える必要がある。基本的には1県全域をテリトリーとした加盟店を「支社」とする。そして、人口100万人から150万人を1単位とし、200万人を超える県については複数の「支社」を配置する。「支社」となるための加盟金を1支社30万円とすれば、全国約70支社の配置が可能になり、2100万円の加盟料が入ることになる。これはいい方法だと、取らぬ狸の皮算用をしてニンマリした。
しかし、当社には経営方法や指導方法といったノウハウらしいものはないのだから、あまり欲をかかずに地道にやらねばなるまい。返済不要の「加盟金」ではなく、当社のリスクを最小限にするための「保証金」(預り金)としよう。さらに、保証金を払って販売する権利だけを主張されては困るので、月間販売数の基準を設定し、3ヶ月ごとに売り上げをチェックし、半年以上ノルマが達成できない場合は、管轄地域に複数の加盟店を設置することができるようにする。おおざっぱではあるが、以上のような青写真を描いてみた。