1977年3月22日に行われるという公開入札の案内を受け、事前に「ポケット絵本」の買戻しができないかを交渉するため、J・チェーンの破産管財人の事務所を訪れた。
K管財人は、当社の2500万円にも上る債権額に理解を示してくれはしたが、破産管財人の使命は、いかにJ・チェーンの資産を高く売り払い、債権者に分配できるかというところにあるという。入札以前に買い取るということであれば、在庫数の把握は完全にはできていないが、1セット(4巻組)100円程度は用意してもらわなくてはならないという。10万セットあるとすると、1000万円にもなる数字だ。不渡手形をつかまされた上に、在庫を買い取らねばならないとは、何と不本意なことだろう。
銀行からの新たな借り入れは、すでにことわられている。公開入札まで待ち、当社が、たとえば管財人の買戻し提示額の2分の1に当たる500万円で入札したとしても、どこかの業者がそれ以上の金額で入札したとすれば、当然当社の権利はなくなってしまう。公開入札の情報を得て、それを安く買って売りさばくことを目的とした業者が数多く存在するようで、そんな業者に買い取られてバッタ売りされでもしようものなら、販売組織の壊滅は目にみえている。しかも、500万円の入札資金さえ用意できるかどうかわからない。何とも、なさけない情況に陥ってしまった。