児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  会社の歴史 >  「せかい童話図書館」刊行の原点

「せかい童話図書館」刊行の原点

学習室文庫文庫判上製のシリーズ「せかい童話図書館」を刊行することが、私のいずみ書房創業のキッカケだった。なぜ出版社を起こしてまで、童話のシリーズを刊行することになったのか、それにはいくつかの理由がある。そのひとつは、幼児・児童期の体験が原点としてあると思う。私は、7人兄弟の四男で下に3歳違いの妹がいる。私の父は、小学校の先生を長くやっていたせいか、幼児期の大切さがわかっていたのだろう。物心がついてから毎日のように寝る前に、「学習室文庫」という1冊40〜50ページほどの薄い本を読んでくれた。全部で180冊あり、1期分が1箱30冊組、第1期〜6期まで6箱に分かれていた。私と妹は一日おきに、1冊ずつお気に入りの本を父に手渡した。日本の昔話、グリムやアンデルセンの童話にはじまり、名作文学、伝記物語、世界の七不思議、科学読み物など、ジャンルは多岐にわたっていた。あまり感情導入をしない独特の抑揚は、50年以上経った今も、はっきりと思い出せる。これが幼児期から小学校3、4年生ころまで続いたように記憶している。兄や姉たちも同じように読んでもらっていたようで、この本を見るとなつかしさと共に何か甘酸っぱい思いがするようである。奥付を見ると、昭和2年、中文館書店という出版社から刊行されたシリーズで、1箱30冊の定価が2円と表示されている。今も、兄弟たちの思い出の証しとして、私が大事に保存している

投稿日:2005年05月31日(火) 11:49

 <  前の記事 20年以上前の刊行物が売り上げトップ  |  トップページ  |  次の記事 子ども向け文庫シリーズが作りたい  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/822

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)