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盲犬モカの楽しみ発見 その3

初泳ぎの翌朝のこと。散歩中に、かゆいのか痛いのか、キャンキャンいいながら、地べたに座りこんだり、しっぽの辺りを噛みついたり、のたうちまわるのです。ノミに刺されたところが、だだれでもしたのかと思って調べてみると、ややや、まだノミの残党がウロウロしているではありませんか。

すぐに、2度目の風呂入れ作戦に出ました。今回は、最初から浴槽を満水にして、一気にモカをお湯の中に入れ、泳がせてみることにしました。しかしモカは、昨夜の恐怖を思いだしているのか、なかなか風呂場に入りたがりません。でも、ノミをやっつけるのだからと説得して(モカは人間の言葉を理解するのです)、中に入れました。そして、即席の応援歌「♪がんばれ!モカちゃん」をこしらえて、歌ってはげましながら、モカの泳ぎを見守りました。出てきます、出てきます。昨夜ほどではありませんが、10匹ほど退治しました。モカは今回も、おぼれる恐怖と戦いながら、舌をハアハア懸命に泳いでいるのはかわいそうなほどでした。今回は、前夜の倍の10分くらいで出してあげました。はたして、壊滅させられたのでしょうか。その日はもう、あまりかゆがることはありませんでした。

ところが敵もさるもの、まだしぶといのが残っているようです。翌朝、お尻のあたりで動いている1匹を見つけたので、すぐさま、第3回「風呂入れ作戦」の決行です。ノミが少なくなってきているのがわかるためでしょう。モカも協力的になって、尻尾をふりふり風呂場へ直行です。ザブン! 浴槽に入ったモカの泳ぎには、何か余裕が感じられ、昨日までのメチャクチャに前足を水面にたたきつけていたのに対し、全身を上手にバランスをとりながら、最小限の動作で泳いでいるのには感心します。とても気持ちよさそうなので「応援歌」ではげますこともなく、およそ15分で終了、ノミ退治5匹の成果でした。しばらくぶりのハードな運動だったせいでしょう。いつもの倍以上の食事量でした。

私は、15分間も水の中に入っても死なないノミの生命力にあきれはて、モカの身体にノミを見つけたら何回でも風呂へ入れるという長期戦を決めこみました。そしてその翌朝、第4回「風呂入れ作戦」に打って出ました。もうモカは、浴槽に入るのを期待して待っているかのように、うれしそうに尻尾をふっています。そしてスイスイ立ち泳ぎを開始。余計な力がぬけているからでしょう、舌をハアハア出すこともなく、口を閉じて鼻呼吸しながら泳ぐ様は、芸術的でもあります。それにしても、人間の子どものように高い月謝を払って「水泳教室」へ通わせるでもなく、見事に泳いでしまう能力には、感嘆してしまいます。今回もおよそ15分、ノミ退治3匹でした。

そして2日後、第5回目の風呂入れで3匹を退治してから、もうノミを見かけることがなくなりました。ついに壊滅に成功したようです。秋も深まって、涼しくなったことも一因なのかもしれません。最後にモカを泳がせてから、もう10日以上たちますが、ときおり「私、泳ぎたいの」といった表情をみせます。この週末には、泳がせてあげようかな。

投稿日:2008年10月14日(火) 09:19

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)