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盲犬モカの楽しみ発見 その1

3年前のブログ(05年7月27日号) 「ノミとり物語」 に登場する愛犬モカ(パピヨン)の話の続編。

モカは今年の8月で8歳になり、そろそろ高齢者の仲間入りということなのでしょうが、昨年1月に左眼の瞳が白くなって白内障のきざしが表れ、4か月後のゴールデンウィーク明けには右目も同じようになって、まもなく失明してしまいました。それでも、犬の感覚というのは大したもので、視覚がなくなっても、鼻(臭覚)と耳(聴覚)と、ひげやしっぽ、体毛や皮膚の触覚だけで、障害物にぶつかることなく、日常生活では、目が見えていたときとほとんど変わらず、何でもこなしてしまうのはびっくりするほどです。

違ってきたのは、朝晩の散歩する距離が極端に短くなったこと。以前は1キロほどを、3つのコースをローテーションを組みながら回っていたのが、家の近所20〜30mの縄ばり以外、歩こうとしなくなりました。

もうひとつは、これまで大好きだった「追っかけ遊び」ができなくなったことです。ボールやオモチャ(ネコやウサギなどの小さなぬいぐるみ)を遠くへ投げると、投げた瞬間に追いかけ、拾ってくわえてもどってくるスピードたるや、ジャマイカのポルトだってかなわない速さでしたから、この楽しみがなくなったのはかわいそうでした。

さらにもうひとつは、「モカ釣り遊び」をしなくなったこと。ハンバーグに綱の取っ手をつけたような犬のおもちゃがあります。ハンバーグ部分の真ん中を押すと、ピーピー音が出るしかけになっていて、モカはこれに噛みつき、上手にピーピー鳴らすのはお見事でした。綱のところに長いヒモをつけて引っぱると、すぐにモカはハンバーグ部分に噛みついて、私と綱引きが始まります。鋭いキバ(犬歯)でしっかり噛みつくと、体重5kgの身体は釣りあげられ状態になるので、「モカ釣り遊び」と称していました。これをフウフウ唸りながらやる光景は、先祖のオオカミを彷彿させるものがありました。

運動が少なくなったためなのでしょう。与えたものは何でも食べたのに、気に入ったものしか食べなくなり、以前にも増して神経質になって、ちょっとした物音でもビックリし、よくほえるようになったのは気がかりなことでした。そして、自動車に乗せようとすると大騒ぎして暴れたりかみついたりするので、以前は週末によくでかけた山梨の山荘へいけなくなったのは残念ですが、しかたがありません。

投稿日:2008年10月09日(木) 10:06

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)