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小澤征爾の名指揮ぶりを堪能

昨日、予定通りドイツ旅行より帰国しました。
北ドイツのリューベック、ハンブルクからスタートし、グリム童話「ブレーメンの音楽隊」で知られる古都ブレーメン、世界有数の大聖堂のあるケルン、ドイツワインを代表するライン河畔の小都市リューデスハイム、大学と古城で名高いハイデルベルク、城壁都市ローテンブルク、ロマンチック街道の人気スポット・ディンケルスビュール、ネルトリンゲン、世界を代表する名城ノイシュバンシュタインに近いフュッセン、ドイツ1美しい街といわれるバンベルク、高級磁器の故郷マイセン、ザクセン王国時代に宮廷文化が栄えたドレスデン、統一ドイツの首都ベルリンと、ドイツの主要都市や地域を12日間かけて周遊する旅でした。好天に恵まれ、14人という小規模なグループに、出国から帰国まで経験豊かな添乗員のアテンドと、ほとんどの街では現地のガイド付、おまけに自由時間が充分とれるという、ちょっと贅沢なツアーを満喫しました。

特に印象深かったのは2連泊した「ハンザの女王」リューベック。「ハンザ同盟」は、12世紀から15世紀の頃、北ドイツを中心にバルト海沿岸地域の貿易を独占した都市同盟で、リューベックはその中心的な存在でした。1492年にコロンブスがアメリカ発見するまで、ヨーロッパの経済圏を実質的に支配していたようで、そんな往時の面影が、500年以上たった今もひっそりと残されていることが評価されて、1987年世界遺産に登録されたそうです。トラヴェ川と運河に囲まれ、左右2キロ、奥行1キロという小さな島のような旧市街の美しさは格別なものがありました。おとぎの国に出てくるようなホルステン門をくぐると、どこまでも続く石畳、教会修道院などの7つの塔がそびえ、黒褐色のレンガがその重厚さを誇っています。静かな川の流れとの対比は絶妙なものがありました。

そして今回の旅行のハイライトは、最終日のベルリンフィルハーモニーの演奏会でした。当初は、ノイシュバンシュタイン城のふもとアルプ湖畔にある劇場で、城の建設者ルートヴィッヒ2世の生涯を綴るミュージカルを観賞する予定でした。ところが、最近劇場が閉鎖されたため、その代替としてベルリンフィルハーモニーコンサート観賞に変更になったということでした。世界一級の演奏が見られると期待してはいましたが、旅行中に、わずか3日間しかない小澤征爾指揮のチケットがとれたことを知り、その幸運に一行は驚きの歓声をあげました。氏のことは、2000年にウィーン国立歌劇場の音楽監督に10年契約をした日本を代表する音楽家であること、独特の指揮ぶりやカラヤンとの親交などをテレビ等を通して知ってはいました。ただ体調を壊し、ごく最近1年5か月ぶりに復帰したことを、新聞のコラムで読んだ記憶がありました。まさにその氏の指揮ぶりを目の前で体験することができたのです。2千数百人もの満席観客を魅了し、なめらかにそして踊るように指揮するその姿は実に感動的で、一行大満足の一夜でした。

それから、とっておきのお話。小澤征爾指揮のベルリンフィルハーモニーの演奏会を観賞する日の1時過ぎ、ベルリン繁華街の中華料理店で同行の兄猛夫夫妻と3人で食事をしているところに、何と小澤征爾氏がたったひとりで入ってきたのです。なんたる偶然、奇跡的な出会いです。
「今夜の演奏会を楽しみにしています」
「日本から来られたんですか」「私は、よくこの店で食事をしているんですよ」
というような、わずかな会話でしたが。
その数時間後、世界の小澤の指揮はじつに華麗で、おみごとと叫びたいほどでした。
ちょっと自慢できそうでしょ。エヘン!

この旅行のことは、私の兄猛夫のブログで、1か月以上にわたり詳しく紹介される予定です。私のブログ右下の[links]にあります「十(とお)一(はじめ)こと酒井猛夫のブログ」をご覧ください。

投稿日:2007年05月29日(火) 15:35

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コメント (1)

かよちゃん:

初めて書き込みします。
来年にドイツへ個人旅行をする予定で、その目玉の1つにルートビッヒのミュージカル観劇がありました。
本日、ブログで閉鎖の件を知り大変ショックですが、タイムリーな情報に感謝の意味で書き込みさせていただきました。貴重な情報をありがとうございます。

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)