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ミニコンサート

最近、土日のいずれかの休日は、自宅から歩いて7、8分のところにある井の頭公園を散策することが多い。井の頭公園駅のほうから入り、井の頭池に浮かぶたくさんの足こぎボートを左に見ながら池沿いの通路を歩くと、両側にフリマーケットというのか出店がずらりとならんでいる。アクセサリー、古着、古本などのお店、似顔絵かき、ギターやバイオリンなどを演奏したり歌ったりする若者のグループ、ギター片手にハーモニカを吹きながら踊って歌う古老おじさんがいるかと思えば、子どもや親たちを前にリクエストに答えて作るバルーンアート、アカペラ4人組など等々……、なんともにぎやかである。時折、野外ステージを使って本格的なミュージシャンやダンサーらのショーに出くわすことがある。こういうときは、何か得をした気分になる。

昼食のお気に入りは、無印良品の裏手にある「八角」というすし屋の「にぎりランチ」。8種8貫のにぎりをメインに、海の幸入りサラダ、茶碗蒸し、みそ汁が出てくる。中瓶ビールを飲んでも1500円でおつりがくるのは、何ともうれしい。吉祥寺駅ビル・ロンロンの地下にある「天はな」という天ぷらランチ、パルコ裏の路地にある「焼肉洞」のカルビ・ランチも、同じような値段なのに品数豊富で、みんなうまい。これでやっていけるのかと、心配になるほどである。

腹ごしらえが済んだあとの楽しみは、ロンロン地下でやっている「ミニコンサート」。小さな舞台に、グランドピアノがおいてあり、その前に約50人分の折りたたみ椅子がおいてある。土日の1時、3時、4時半の3回それぞれ30分間のステージがあり、ここで20〜30代の若い女性ミュージシャンのショーが無料で楽しめる。みな本格的な音楽教育を受けてきた方たちなのだろう、いつ見てもはずれたことがない。ピアノを弾く人は必ずいる。他にバイオリン、クラリネット、マリンバなどを演奏する人が加わることがある。スチールドラムという初めて聞く楽器にでくわすこともある。曲目はポピュラーなものばかりなのがうれしい。本格的なコンサートへ行くと、どうしても技量を示すためか大作に挑むことが多く、一般人にはなじめない曲が大半を占めるため、ぐっすり眠ってしまうことがある。ところが、このコンサートでは、舞台が通路にあるため、歩く人でも引き止める必要があるからなのだろうか、4、5分から7、8分で終わる小品が多い。ショパンの「幻想即興曲」「別れの曲」「子犬のワルツ」や、ベートーベンの「エリーゼのために」「月光の曲」などにはよく出あう。「熊ん蜂の飛行」や「乙女の祈り」など、生演奏ではじめて聴いた曲もいくつかあった。高いお金をつぎこまなくても、良質なセミクラシックを中心に、童謡、唱歌、演歌の名品、シャンソン、カンツォーネ、ラテン、タンゴ、映画音楽など、広いジャンルのホピュラーソングに、気楽に親しめる環境があるのはうれしい限りだ。

投稿日:2005年07月15日(金) 09:37

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)