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『軽騎兵序曲』 のスッペ

今日4月18日は、オーストリアの作曲家で、オペレッタとその序曲や劇中歌で有名なスッペが、1819年に生まれた日です。

ダルマチア地方にベルギーから移住した貴族の家に生まれたフランツ・フォン・スッペは、幼年期に音楽の手ほどきを受けて作曲をはじめ、10代のはじめに北イタリアのクレモナでフルートと和声法を学びました。ところが、父の希望でパドバの大学で法学を専攻するものの、音楽の道をあきらめきれません。

16歳のときウィーンに出てウィーン音楽院のジーモン・ゼヒターに入門、1841年にヨーゼフシュタット劇場に所属する指揮者兼作曲家として活躍をはじめました。スッペは同劇場以外にも、レオポルトシュタット座、アン・デア・ウィーン劇場、バーデン歌劇場などの公演のために、1895年76歳で亡くなるまでに、オペレッタ30曲を含む、バレー曲や劇中音楽など200曲以上もの作品を提供しました。

代表作のオペレッタ『軽騎兵』は、詩人のカール・コスタの台本で作曲されたもので、1866年にウィーンのカール座で初演されて大評判となりましたが、いまでは序曲だけが残っています。トランペットとホルンによるファンファーレのあと、騎兵隊による勇猛で華やかな行進、やがて中間部で戦死した将兵たちのへの鎮魂の調べが重々しいチェロの合奏がかなでられ、最後はふたたび砂塵をまきあげての進軍で終わるこの曲は、今も人気をほこり、映画やアニメーション、コマーシャルなどの音楽に転用されたりしているので、誰もが耳にしたことがあることでしょう。

オペレッタ『ボッカチオ』の序曲もよく知られ、大正時代に浅草オペラの台頭によってスッペのオペレッタが紹介されたとき、田谷力三の愛唱歌として「♩ 恋はやさし野辺の花よ」で有名になり、「ベアトリーチェ」は「ベアトリ姐ちゃん」とタイトルを変え、榎本健一の歌でヒットしました。他に『詩人と農夫』『美しきガラテア』の序曲や劇中歌だけが愛されているのは、残念な気がします。


「4月18日にあった主なできごと」

1849年 葛飾北斎死去…『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』など、江戸時代後期に活躍した浮世絵師で、フランス印象派の画家をはじめゴッホ、セザンヌらに大きな影響を与えた葛飾北斎が亡くなりました。

1942年 B25が日本を初空襲…米軍のB25爆撃機16機が、東京、横浜、名古屋などを初めて空襲しました。

1943年 山本五十六戦死…太平洋戦争を進めたときの日本海軍大将の山本五十六が、ソロモン諸島でアメリカ軍の攻撃にあい、戦死しました。日本海軍の暗号が米軍に解読されたのが原因といわれています。

1955年 アインシュタイン死去…相対性理論によって新しい科学を開き、核戦争に反対をとなえた20世紀最大の物理学者アインシュタインが亡くなりました。
投稿日:2014年04月18日(金) 05:58

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)