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「幕末の剣客」 千葉周作

12月10日は、北辰一刀流をあみだし、江戸三大道場のひとつ「玄武館」を育て上げた千葉周作(ちば しゅうさく)が、1855年に亡くなった日です。

1793年、いまの宮城県気仙沼市の獣医の子として生まれた千葉周作は、15歳のとき、剣客の父とともに千葉の松戸に移り住み、父の知り合いの中西派一刀流の浅利又七郎に入門しました。23歳で免許皆伝となり、又七郎の推せんで師の中西忠兵衛に入門し、当時の名剣士高柳又四郎、白井亨、寺田五郎右衛門らと競い合いました。3年で免許皆伝となりますが、免許祝いの試合で、先輩で音なしの構えの又四郎と立ち合い、勝負は引き分けたものの、周作の踏み下した足元が厚い檜の床を踏み破ったことで「ただ者ではない」と喧伝されることになりました。

その後他流試合を通じ、各流派に長短両面があること、一刀流派にも改良する点をみつけ、みずからあみだした「北辰一刀流」をうちたてました。そして、その流儀の普及を兼ねて、武蔵・上野(群馬県)など諸国をまわるうち自信をえて江戸にもどり、1822年、日本橋に「玄武館」という道場を建てました。その指導法は合理的で、主に竹刀を使用し、段階を3段階と簡素化したことで、他の流派では10年かかる修行を5年で完成させ、近代剣道に大きな影響を与えました。

のちに神田お玉が池に移転し、たくさんの優秀な人材を育て、斎藤弥九郎(練兵館)、桃井春蔵(士学館)とともに、幕末の3剣士と称され、江戸三大道場のひとつに数えられるようになりました。

門下から幕末の重要人物を多数輩出し、清河八郎、山岡鉄舟、山南敬助、塚田孔平、海保帆平、森要蔵らは優れた剣客として名を上げています。また、坂本龍馬も周作の弟で千葉一門の定吉から、京橋桶町道場で剣術修行を受けたことで知られています。

なお、晩年の周作は、名声を聞きつけた水戸藩主徳川斉昭の招きを受け、藩校弘道館の剣術師範となっています。


「12月10日にあった主なできごと」

1896年 ノーベル死去…ダイナマイトを発明したスウェーデンの化学技術者ノーベルが亡くなりました。「人間のためになると思って苦労して発明したものが、人々を不幸にしている」── そう気づいたノーベルは、死ぬ前に遺言を書きました。「財産をスウェーデン科学学士院に寄付するので、そのお金の利子を人類の平和と進歩のためにつくした人に賞として贈ってほしい」。こうしてノーベルの死後5年目の1901年から、遺志にしたがって「ノーベル賞」を贈ることがはじまり、命日であるこの日が授賞式となりました。なお、1昨年のiPS細胞を作製し再生医療実現に道を開いた山中伸弥のノーベル賞(医学生理学賞)に続き、今年は青色発光ダイオード(LED)の開発と商品化により、赤崎勇・天野浩・中村修二の3名がノーベル賞(物理学賞)を受賞、日本生まれの受賞者は22名になりました。
投稿日:2014年12月10日(水) 05:17

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)