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「自由学園」 の羽仁もと子

今日4月7日は、日本初の女性ジャーナリストで、「婦人之友社」や「自由学園」を創設した教育者・思想家の羽仁もと子(はに もとこ)が、1957年に亡くなった日です。

1873年、青森県八戸市に生まれた羽仁もと子(旧姓・松岡)は、1889年に上京して、府立第一高女に入学後クリスチャンとなり、その信仰は、生涯にわたる思想の原点となりました。1891年「女学雑誌」の編集長をしていた巌本(いわもと)善治が校長をつとめる明治女学校に入学すると、「女学雑誌」の校正を手伝いながら雑誌作りの基礎を学びました。翌年中退して帰郷、教員となって結婚するもののまもなく離婚。1897年にふたたび上京して、報知社(現・報知新聞社)に校正係として入社します。やがて自主的に書いた原稿が認められて記者に登用され、わが国初の女性ジャーナリストになりました。

1901年に同僚記者の羽仁吉一と再婚。1903年に夫婦で雑誌「家庭之友」(のちに「婦人之友」に改題)を創刊し、「社会の改革は家庭から」をスローガンに、男が中心の家にかわる夫婦による家庭づくりを提唱し、主婦の自覚と家庭生活の合理化のために力をそそぎました。「婦人之友社」の読者組織「友の会」は今もつづき、家庭生活研究の全国団体に成長しています。

戦後は、新教育運動の流れの中で、1946年「自由学園」を創立し、キリスト教的自由主義に基づき「生活即教育」を掲げ、生徒みずからが昼食をこしらえるなど、文部省の規則にしばられない自由・自治の女子教育(のちに男子部も設置)を実施して注目されました。現在は、東久留米市にある学校法人として、幼稚園から大学まで独自の教育理念に基づいた一貫教育を行っています。

なお、オンライン図書館「青空文庫」では、「たましいの教育」など、羽仁もと子の著作5編を読むことができます。また教育評論家として活躍した羽仁説子は長女、説子の配偶者が歴史学者の羽仁五郎です。


「4月7日にあった主なできごと」

1133年 法然誕生…平安時代末期から鎌倉時代初期の僧侶で「浄土宗」を開いた法然が生まれました。

1506年 ザビエル誕生…1549年、日本に初めてキリスト教を伝えたスペインのイエズス会宣教師ザビエルがフランスとスペインとの国ざかいのナバラ王国(1512年にスペインにほろぼされた)に生まれました。

1882年 小川未明誕生…『赤いろうそくと人魚』 『野ばら』 『月夜とめがね』 など1000編近い童話を著した小川未明が生まれました。

1894年 宮城道雄誕生…『春の海』など、琴を主楽器とする日本特有の楽曲(箏曲<そうきょく>)の作曲者、演奏家として世界に名を知られた宮城道雄が生まれました。

1945年 戦艦大和撃沈…大日本帝国海軍が建造した排水量6万8千トンという当時世界最大の戦艦「大和(やまと)」は、この日沖縄にむけて出撃途上、屋久島沖でアメリカ航空機部隊386機の集中攻撃を受けて3000人の将兵とともに、海底深く沈没しました。

1947年 フォード死去…流れ作業による自動車の大量生産を成功させ、世界一の自動車会社を創立したフォードが亡くなりました。
投稿日:2014年04月07日(月) 05:49

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)