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「帝国主義批判」 のホブソン

今日4月1日は、『帝国主義論』などたくさんの著作を通して、帝国主義・軍国主義を批判したイギリスの経済学者ホブソンが、1940年に亡くなった日です。

1858年、イングランドのダービー市に生まれたジョン・アトキンソン・ホブソンは、1880年からオックスフォード大学で古典学を学び、1887年卒業後に同大学の講師となります。ところがまもなく、発表した『産業の生理学』が大学から非難され辞職させられてしまいました。著述家となったホブソンは、経済学や社会学を独学し、評論のテーマを広げました。

1899年、マンチェスター・ガーディアン紙の通信員として第2次ボーア戦争(イギリスとオランダ系ボーア人との戦い)直前の南アフリカへ渡り、イギリスの植民地支配の実情をつぶさに観察したことで、帰国後、人道主義の立場から戦争反対の行動をおこしました。1902年には『帝国主義論』を著し、「過剰貯蓄説」と「過少消費説」という経済学説を発表しました。その要点は、植民地を侵略しようとする「帝国主義」は、金融業者など少数国民の多すぎる所得が過剰投資・過剰生産を引き起こすことになること、これをなくすためには社会改良による所得の平等化をはからなくてはならないというものです。このホブソンの分析は、のちに社会主義者たちに受け入れられ、ローザ・ルクセンブルク、レーニンらの著作に影響を与えて帝国主義批判の古典とされ、「過少消費説」はケインズにも高く評価されています。

ホブソンは、第一次世界大戦時にはイギリスの中立を主張するなど、当時のイギリス経済学界には受け入れられなかったものの、ニューヨークの進歩的週刊誌『ネーション』『ニュー・レパブリック』にたびたび寄稿し、帝国主義や軍国主義に反対する著書を生涯に50点以上も刊行。アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領の「ニューディール政策」にも影響を与えたといわれています。


「4月1日にあった主なできごと」

1173年 親鸞誕生…『南無阿弥陀仏』と念仏をとなえれば、来世で極楽浄土に生まれかわることができると説く「浄土宗」を開いた法然に学び、その教えを発展させて「浄土真宗」を開いた親鸞が生まれました。

1815年 ビスマルク誕生…プロイセン王の右腕としてドイツ統一をめざして鉄血政策を推進し、1871年にプロイセン王をドイツ皇帝として戴冠させ、ドイツ統一をなしとげたビスマルクが生まれました。

1938年 国家総動員法の公布…1937年7月、北京郊外の盧溝橋での日中の衝突事件に端を発した日華事変は、急速に激化の一途をたどりました。広大な中国の山野で活動する大軍の需要を満たすため、この日国家のすべての人的・物的資源を政府が統制運用できる権限を規定した「国家総動員法」を公布しました。
投稿日:2014年04月01日(火) 05:04

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)