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「日本アルプスの父」 ウェストン

今日3月27日は、イギリス人宣教師で『日本アルプスの登山と探検』などを著し、日本アルプスや日本の風習などを世界に紹介したウェストンが、1940年に亡くなった日です。

1861年、イングランド中部のダービーに生まれたウォルター・ウェストンは、ケンブリッジ大学のクレア・カレッジとリドレー・ホール神学校で学びました。卒業後、イングランド国教会の聖職者を志すいっぽう、登山にも興味をもちマッターホルンに登頂するなどアルプスの山々に親しみました。

1888年から1915年まで、3回にわたって日本を訪れ、神戸や横浜で布教するかたわら、趣味として富士山、日本アルプス、南アルプスをはじめ、日本有数の山々に登りました。しかし当時の日本は、山は聖なるもので、宗教的な理由から「講」として登山することはあったものの、西洋的な登山の方法はほとんど知られていませんでした。そのため、ウェストンが案内を依頼しても、ことわられることがほとんどで、「金銀や水晶があるわけでもないのに、なぜ山に登るのか」と聞かれたウェストンは「未知の山を制覇する快感」と答えたといわれています。それでも少しずつ協力者があらわれ、1893年に前穂高岳に登ったときの案内役(地元猟師)との友情などが知られるようになっていきました。

1896年ウェストンは、初来日の5年間に体験した登山の記録や山旅で見た情景や感慨を『日本アルプスの登山と探検』としてイギリスで出版しました。1902年結婚したばかりの夫人を伴って2度目の来日をすると、ウェストンの著書に共感した登山家の小島烏水(うすい)や岡野金次郎らと交友を深め、1905年に帰国寸前「日本山岳会」の創設を説いたことがきっかけとなって、翌年に同会が発足、ウェストンは1910年に「日本山岳会」名誉会員となっています。

1917年には、イギリス王立地学協会から日本アルプスを開拓した功績により、バックグランド賞を受賞。日本政府も1937年に勲章を贈った上、「日本アルプスの父」として長野県上高地の梓川のほとりに、レリーフを建てました。いまでも、毎年6月第1日曜日のアルプスの山開きには、「ウェストン祭」を行って業績を讃えています。


「3月27日にあった主なできごと」

1689年 芭蕉「おくの細道」へ出発… 松尾芭蕉 は弟子の河井曽良(そら)を伴ない、この日江戸・深川の庵を出て「おくの細道」の旅に出発しました。東北・北陸をめぐる旅の日数はおよそ150日間、『奥の細道』は、わが国紀行文学の代表的存在です。

1845年 レントゲン誕生…ドイツの物理学者で陰極線の研究中、物質を通りぬける放射線エックス線を発見したレントゲンが生まれました。

1933年 「国際連盟」脱退…国際連盟は2月24日の総会で、日本軍による満州建国を否認しました。日本はこの日、正式に国際連盟を脱退、国際社会の中で孤立し、戦争への道を歩みはじめました。
投稿日:2014年03月27日(木) 05:04

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)