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「アフリカの征服者」 ローズ

今日3月26日は、南アフリカのケープ植民地首相となり、ローデシアを征服した政治家・事業家のローズが、1902年に亡くなった日です。

1853年、ロンドン近郊ハートフォードシャーの牧師の子に生まれたセシル・ローズは、1870年に結核療養のため、気候のよい南アフリカの兄の住むダーバンに渡りました。当時の南アフリカはダイアモンドラッシュのさなかで、健康を取りもどしたローズは、1872年から兄とともにキンバリー鉱山で坑夫としてつるはしをふりました。

やがてローズは、ダイアモンドを掘りあててこしらえた資金で、オランダ系植民者ボーア人が支配する「トランスバール共和国」の金鉱業への投機に成功すると、ロンドンの財閥ロスチャイルドの融資をとりつけて、1880年デ・ビアス鉱業会社を設立。キンバリーのダイアモンド鉱山のほとんどを支配下に置くようになり、全世界で産出するダイアモンドの9割を独占するまでになりました。また、トランスバール金鉱業も傘下にして世界最大の産金王にのし上がったばかりか、南アフリカの鉄道・電信・新聞業まで支配するようになりました。政界へも進出して、1884年にはケープ植民地政府の財務相、1890年には首相にまで上りつめます。

ローズは典型的な帝国主義者で、イギリス領土の拡大こそ自分の使命と考える人物でした。1889年までにイギリス本国政府から特許をとって、征服地に対する警察権・統治権をもつ「イギリス南アフリカ会社」を興すと、北に遠征軍を派遣して征服活動を続けます。そして1893年までに、イギリス本国の4倍半にも相当する広大な土地を奪って南アフリカ会社の統治下に置き、征服者ローズの名にちなんで「ローデシア」(いまのザンビア・ジンバブエ両共和国)と命名しました。

さらにローズは、「トランスバール共和国」も併合しようと、1895年、親友のジェームソンが指揮する500名の騎馬隊を侵入させたところ、民兵の反撃にあい、全員が捕虜となりました。この事件は、本国のイギリス政府から激しく非難されて、翌年ローズは首相を解任され、政治生命を絶たれてしまいました。


「3月26日にあった主なできごと」

1205年 新古今和歌集完成…後鳥羽上皇の命によって編まれた和歌集『新古今和歌集』がまとめられました。

1648年 柳生宗矩死去…江戸時代初期の武将で、将軍家のご流儀としての「柳生新陰流」をきわめた柳生宗矩(むねのり)が亡くなりました。

1827年 ベートーベン死去…『交響曲第5番』(運命)『交響曲第9番』(合唱)などの交響曲、『月光』『悲愴』などのピアノ曲のほか、管弦楽曲、歌劇、声楽曲など各方面にわたるかずかずの作品を残し、クラシック音楽史上最も偉大な作曲家の一人とされるドイツの作曲家ベートーベンが亡くなりました。

1910年 安重根死刑…初代韓国統監を務めていた伊藤博文を暗殺した朝鮮の安重根(じゅこん)が死刑になりました。安は、韓国では義士としてたたえられています。
投稿日:2014年03月26日(水) 05:50

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)