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「伝説的英雄」 サパタ

今日4月10日は、メキシコ革命動乱期に、農民運動を指導したことで知られるサパタが、1919年に暗殺された日です。

1879年、比較的裕福なインディオ系農民の子として南部モレロス州の小村に生まれたエミリアーノ・サパタでしたが、17歳で小さな弟や妹とともにみなし子となるものの、村人たちからの人望は厚く、1909年に村の防衛委員長に選出されるなど、村のスポークスマンとして働きました。

当時のメキシコは、1876年に権力を握ったディアスの独裁政治による支配下にありました。1910年の選挙でディアスが北部の地主マデロを破って再任されると、サパタは村民を率いて大農園に占拠されていた土地を奪還しようと武装蜂起しました。アメリカ・テキサス州に亡命後、ディアス追放と社会改革を掲げるマデロと秘かに同盟を結ぶと、翌年サパタ軍は首都メキシコ市を武力で封鎖して、ディアスを追放しました。35年間続いた長期政権のあっけない幕切れでした。

マデロが大統領に選出されると、サパタは「アヤラ案」という、大地主たちに奪われた土地や森林などの財産は、正当な権利を持つ村や人民が保有するという農地改革計画を示し、これを直ちに実行するように要求しました。ところが、政治の民主化を優先するマデロは受けつけません。そのためサパタは、数千の農民軍を率いてマデロに対するゲリラ的な武装闘争を開始すると、一時は南部6州を制圧して初の農村貸付銀行を創立するなど、社会革命を進めました。

いっぽう北部の指導者ビリャと提携するなど、革命諸勢力を集めた会議を1914年に開いて、農地改革を全国規模で実施する綱領を採択させました。その後、ウエルタ将軍にマデロが殺されると、政権をとったウエルタ政府に対しても武力闘争を継続しました。

ところがサパタは、ウエルタ政権打倒に立ち上がった他の革命軍には加わらず、「サパタ派に寝返りたい」と近づいてきた穏健派のカランサ派将校の策略にかかり、暗殺されてしまったのでした。いまもサパタは、農地改革運動のシンボル的な存在として、メキシコ市にはたくさんの銅像が残されています。
 

「4月10日にあった主なできごと」

1946年 初の女性議員…この日、日本ではじめて女性が参加した衆議院議員選挙が行なわれました。この選挙の女性投票率は67パーセントをこえ、女性立候補者82名のうち39名が当選をはたしました。

1952年 「君の名は」放送開始…NHKは、連続ラジオ放送劇「君の名は」(菊田一夫作)を、この日からスタートさせました。放送開始から爆発的な人気を呼び、銭湯の女湯がガラ空きになるほどの社会現象をひきおこしました。

1959年 皇太子の結婚…皇太子明仁親王(現在の天皇)がこの日結婚。皇太子妃となる正田美智子さんが、民間から初の妃ということで慶祝熱が高まり、ご成婚パレードには美智子妃を一目みようと沿道に53万もの人がつめかけるなど、日本じゅうが「ミッチーブーム」にわきたちました。
投稿日:2014年04月10日(木) 05:52

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)