広州でのもう1日は、ホテル周辺を歩きまわり、中国の一般の人たちの暮らしぶりを探訪してみることにした。まず、気がついたことは、交通マナーの悪さだ。メインとなる幅15mほどの道路の多くは、道路を横断させないために中央に金網が張ってあるが、幅10mほどの一般道路では、歩行者は車の合間を練るように横断していく。近くに信号があっても、ほとんど信号まで行こうとしない。赤信号でも平気で歩いて行くし、バイクも赤信号でも突っ込んできて左折するのは当たりまえ。交通ルールを守って赤信号で待っていたら、リヤカーをひっぱっている自転車に乗った親父がドスンとぶつかってきた。謝るかと思ったら、何で渡らないのだというような顔をしている。ひどいものだ。
それから、物が安いのはよいがすぐにお金をごまかす。前回つづった2元のエビの例でいえば、2.5元でレジを打ってきた。この時はレシートをもらったためにすぐに気づき訂正させたが、レストランでも、スーパーみたいな店でもわざと間違う。タクシーでも、意識的に遠回りしたり、メーターをごまかしたり、まったくうかうかできない。
地元の人たち相手のアメ横のようなショッピングセンターに入ってみたら、真昼間から店員同士が何人か集まってトランプや将棋などに興じている。裏通りを歩いていたら、突然水が落ちてきた。4、5階の住人が窓から捨てたと思われる。バクチに興ずる若者、ところかまわずツバを吐き散らす、路地で小便をする、道端にハダカで寝そべる…。夜はとても歩けない雰囲気だ。
見本市会場ではどのブースも英語が通用するが、レストランなどちょっと一般のお店に入ったら、英語はまったくといってよいほど通じない。英語が話せるのは一部のエリートだけなのかも知れない。私の印象でいえば、中国が文明国の仲間入りができるのは、30年以上も先のことだろうと思う。