「子どもワールド図書館」の初版が刊行されてから、25年以上が経過しましたが、この間の最大の変貌は、「東西ドイツの統一」「ソビエト連邦(ソ連)崩壊」そして、ソ連に事実上支配されてきて東ヨーロッパ諸国の独立と民主化だといってよいでしょう。今回は「東ヨーロッパ諸国の独立と民主化」の第3回目。
● アルバニア
アルバニアの歴史は古く、紀元前数世紀前から現在の地に住んでいますが、長い間トルコに支配され、ようやく1912年に独立した小国です。2度の大戦にも他の東欧諸国と同様の運命をたどり、社会主義国として1944年に再出発しましたが、この国はソビエトとは結びつかず、中国の援助で工業を発展させてきました。ヨーロッパでは経済的に最もたち遅れた国で、前途は多難なものがあります。
1992年の総選挙により非共産党政権が成立し、国際社会への復帰を進めています。
● ユーゴスラビア
トルコに支配されていたユーゴスラビアが、王国として歩みだしたのは1929年のことですが、第2次大戦中にドイツやイタリアからせめこまれたとき、王は国外へ逃亡してしまいました。かわって、建国の父といわれるチトーの率いるパルチザン (遊撃隊) が、ドイツ軍と壮烈に戦い、独力でドイツ軍を国外に追いやり解放しました。そして、ソビエトや他の東ヨーロッパとは少し違ったタイプの社会主義政策をすすめ、非同盟中立という立場をとって、社会主義国ばかりでなく資本主義国とも手をつないでいこうという方針をつらぬいてきました。
ユーゴスラビアという国は、7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教といわれてきたほど、統治の難しい国でした。そのため、1980年チトー大統領の死により、唯一の政党である共産主義同盟の役割が強まり、民族を異にする共和国・自治州の対立が激化、社会主義離れがすすんで1990年に党が分裂しました。これをきっかけに、さまざまな紛争がおこり、10年以上にわたる泥沼のような試練の時代がありました。
その結果、2003年にユーゴスラビアの国名も消滅し(セルビア・モンテネグロとなる)、次の6か国に分離しました。1991年クロアチア、マケドニア、スロベニア、1992年ボスニア・ヘルツェゴビナが独立、2003年に独立したセルビア・モンテネグロが、2006年セルビア、モンテネグロとして分離独立しました。