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東ヨーロッパ諸国の独立と民主化 (2)

子どもワールド図書館」の初版が刊行されてから、25年以上が経過しましたが、この間の最大の変貌は、「東西ドイツの統一」「ソビエト連邦(ソ連)崩壊」そして、ソ連に事実上支配されてきて東ヨーロッパ諸国の独立と民主化だといってよいでしょう。今回は「東ヨーロッパ諸国の独立と民主化」の第2回目。
● ハンガリー 
10世紀に「ハンガリー王国」として建国後、モンゴルやトルコの侵入、オーストリアの支配など幾多の変遷を重ね、さらに第2次大戦中はドイツに占領されて、食料倉庫の役割をおしつけられました。1945年ソビエト軍のたすけを借りてドイツ軍を追い出し、1949年人民共和国として再出発しました。
ハンガリーは、東ヨーロッパのなかでは指おりの大平野が広がる恵まれた風土にあります。そのため国土の70%が農地につかわれ、小麦やトウモロコシなどを中心にした農業が盛んで、ヨーロッパの穀倉といわれてきました。その後工業ものびてきて、工業と機械化農業の国へと変わりつつあります。
1989年6月、共産党の内部で改革派が多数派になり、10月に憲法を改正して民主化がおしすすめられました。1990年代はヨーロッパ社会への復帰をめざし、1999年にNATO、2004年にEU(ヨーロッパ連合)に加盟しました。
● ルーマニア 
ルーマニアは 「ローマ人の国」 という意味で、東ヨーロッパで唯一のラテン系民族国家です。1944年、ソビエト軍と協力して占領軍のドイツ軍を国外へ追い出し、民主政権をうち立て、ひきつづき1947年に王制から人民共和国になりました。
ルーマニアは、トランシルバニア山脈をはじめ、3つの山脈が縦横に走っているため、国土の2/3が山地あるいは丘陵地帯です。しかし、豊かな黒土に恵まれ、農業はたいへん盛んです。特に小麦、トウモロコシはヨーロッパ指おりの生産国です。また、ヨーロッパ第2の石油産出国であることを背景に、工業の発達もめざましく、世界でも第1級の成長率を示していました。
1989年12月、チャウシェスク大統領の独裁打倒を叫ぶ民衆が、共産党本部や国営放送局などの主要機関を奪い、大統領は処刑され、救国戦線が政権をにぎって民主化をすすめました(ルーマニア革命)。
民主化以降も独裁色のつよい政権がつづいていますが、2004年にNATOに加盟、2007年1月EUに加盟しました。
● ブルガリア 
ブルガリアは、9〜13世紀に大帝国をうち立てたことがありますが、その後の500年間はトルコに支配され、トルコの大地主のひどい搾取にあって、貧しさを余儀なくされてきました。1877年のロシア・トルコ戦争後にトルコから解放され、ソビエトと強いつながりができました。第2次大戦後は、他の東欧諸国と同様に社会主義国としての歩みをつづけ、東欧諸国のなかでは最もソビエトに協力的だったのも、そんな歴史的なつながりからだともいえましょう。まだ農業中心の国ですが、徐々に工業も発展しつつありました。
1989年に共産党政権が崩壊し民主化をすすめてきましたが、ソ連を中心とした周辺諸国の市場を失ったことにより金融危機に陥りました。最近になってようやく回復しはじめ、2007年1月にEUに加盟しました。

投稿日:2007年02月20日(火) 09:13

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)