児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  業務日誌 >  東ヨーロッパ諸国の独立と民主化 (1)

東ヨーロッパ諸国の独立と民主化 (1)

子どもワールド図書館」の初版が刊行されてから、25年以上が経過しましたが、この間の最大の変貌は、前々回に記した「東西ドイツの統一」前回の「ソビエト連邦(ソ連)崩壊」そして、ソ連に事実上支配されてきて東ヨーロッパ諸国の独立と民主化だといってよいでしょう。前回記したバルト3国をのぞいた東欧のそれぞれの国が、どのような経過をたどってきたかを記してみましょう。
● ポーランド
20年ほど前までは、東ヨーロッパ7か国のうちいちばん面積が広く、人口の多いのがポーランドでした。混合農業やシレジア地方を中心とする重工業が発達していたため、東ヨーロッパの代表的な国家といわれていました。
ポーランドが国の基礎を築きあげたのは10世紀の後半のこと。14世紀はじめには力の強い国になり、最盛期にはバルト海からウクライナの黒海沿岸まで国土がひろがる王国をつくりあげました。ところが、18世紀には、まわりのロシア、ドイツ、オーストリアなどの外国勢力が強まり、これらの国々から3度にわたって国を分割され、まもなく国はとりつぶされてしまいました。
第1次大戦後、力強い愛国者たちの努力によって、125年ぶりに独立をとりもどしましたが、それもつかのま、20年後にはヒトラーの率いるドイツ軍に占領されてしまいました。近代世界史のなかで、これ以上悲惨なものはないといわれるポーランド国民の苦しみの日々が、このときからはじまりました。1944年ソビエト軍の協力により、ドイツ軍を国外に追いやるまでの6年間がそれです。この間にドイツ人の手によって殺されたポーランド国民は600万人 (全国民の約20%) といわれています。ほかに、家畜の70%が殺され、工業設備の90%が破壊されるなど、国の富の40%以上を失いました。
しかし1945年、長い間の国民の念願だったポーランド人民共和国が誕生したのです。国民は政府と力を合わせ、祖国のたてなおしを開始し、多くの町を、ほぼ戦前どおりに復興させました。それは、国を誇りに思う心と、戦争のことをいつまでも忘れまい、永久に平和であってほしいという人々の願いがこめられているからでしょう。
1989年6月に自由選挙が行なわれ、連帯が共産党に圧勝、9月に連帯を中心とした内閣が成立、社会主義体制をやめて民主化に取り組みはじめました。NATOにも加盟して親米国のひとつとなり、2004年にはEU(ヨーロッパ連合) にも加盟しました。
● チェコスロバキア 
この国は、チェコ人、スロバキア人をはじめ、ドイツ人、ハンガリー人、ルテニア人などさまざまな民族がいりまじっています。7世紀にチェコ人が独立国をつくりあげたのが、チェコスロバキアの国のはじまりです。共和国として独立したのは1918年ですが、第2次大戦に入ると、ドイツから激しい攻撃を受け、1939年以降、ポーランドと同様な苦しみの日々を送ったのです。1945年、国の独立をとりもどすことができたチェコスロバキアは、豊富な地下資源をうまく利用し、重化学工業とくに機械工業を中心に発展をとげてきました。1962年以来、ソビエトからの友好のパイプラインで輸送される原油を利用し、日本とよく似た加工貿易をしていました。
1989年11月、自由化を要求する学生デモを機動隊が弾圧したことがきっかけとなって、労働者の一斉ストライキがおこり、共産党を倒して市民フォーラムが実権をにぎりました(ビロード革命)。
ところが、1992年の6月の自由選挙で民主スロバキア同盟の勝利により、チェコとスロバキアの分離が決定し、1993年1月に分離しました(ビロード離婚)。
チェコ、スロバキア両国ともに、2004年にEU(ヨーロッパ連合)に加盟しています。

投稿日:2007年02月19日(月) 09:50

 <  前の記事 ソ連の崩壊とその後の旧ソ連邦  |  トップページ  |  次の記事 東ヨーロッパ諸国の独立と民主化 (2)  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/448

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)