歴史的にみると、中国は香港を、イギリスから略奪されるような形で手放すことになったが、香港に住む人たちにとってはむしろ、幸運だったのではなかろうか。旅行者の印象でしかないが、香港は立派な文化都市であり、物価も日本より多少安い程度ではあるが、中国本土と比較にならないほどインフラや社会的秩序がしっかりしている。
香港島にある「香港ギフト・プレミアム展2005」会場である「香港コンベンション&エキジビションセンター」の充実した施設と、ビクトリア・ハーバーに囲まれた景観は美しく、ブース間のたっぷりとられた歩道といい、まことにゆったりと気持ちよく歩ける。お台場のビッグサイトも、ここと比較すると貧弱さがいなめない。
見本市会場でカタログをもらい、名刺を置いてきた多くの会社から、「たくさんある中から、私どものブースにお立ち寄りいただきありがとうございます。どのような用件でも、お問い合わせくだされば、すぐにお答えします……」というメールが届く。どうせお付き合いするのなら、こういう会社とつながりをもちたいものだと思ってしまう。
香港の街中を歩いたのは、コンベンションホール近くにあるワンチャイという地下鉄駅付近の2、3時間だが、日曜日にもかかわらず活気に満ちた町並みで、小泉首相の靖国参拝問題の影響があるかと多少の心配もしたが、それもまったくなく、安心して食事や散歩を楽しめた。
ホテルは香港島対岸の九竜半島の沿岸にあり、まさに「100万ドルの…」といわれるにふさわしい夜景を堪能できた。ホテルから2、3分のところにある日本資本のジャスコは、デパートと大型スーパーがいっしょになったような大ショッピングセンターで、夜の9時、10時になっても地元の客でにぎわっていた。香港は、もう一度でかけて、ゆっくり町中を歩いてみたい都市のひとつだ。