いずみ書房のオリジナルシリーズの第5弾は、1983年5月に販売を開始した「みんなのおんがくかい」(全12巻)だった。絵本12冊と絵本に対応したカセット12巻 (のちにCD12枚) と楽譜集からなり、1冊の絵本に童謡が10曲、セミクラシック4曲を収録した。トータルで童謡120曲、セミクラシック48曲を収録したことになる。
このシリーズの最大の特長は、これまで他社で刊行されてきた童謡絵本が、単に絵に歌詞がそえられているものだったのに対し、このシリーズでは1曲ごとに、歌の解説を付けたことだ。たとえば、相田裕美作詞、宇野誠一郎作曲の「アイアイ」では、次のようになっている。
「アイアイって、サルの種類の名まえなのよ。ゾウやライオンやキリンなどがたくさんいるアフリカの近くに、サツマイモの形をしたマダガスカルという島があって、アイアイはその島にすんでいるの。サルなのにリスに似ていて、目は丸く、しっぽはふとくて長いのよ。おうちは、木の上に、葉っぱをたくさん集めてきて、まーるいのをつくるんだって。耳が大きくてかわいいアイアイは、その葉っぱのおうちで眠るとき、どんな夢を見るのでしょうねえ。葉っぱのじゅうたんに乗って空を飛んでる夢かしら、アイアイの王さまになった夢かしら、それともやはり、ごちそうの夢かしら。島へごちそうを持っていって、おーいアイアイって呼んでみたいわね。アイアイの赤ちゃんも遊びにきてくれるわよ、きっと」
このように120曲の童謡、セミクラシック48曲、168曲すべての曲に母親が子に語りかけるヒントになるような、曲にまつわる心温まる解説を付けたことである。