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教科書の絵を替えさせた「ひらいたひらいた」

本日も、「みんなのおんがくかい」の曲にそえられた解説の例をあげてみよう。

わらべうたの「ひらいたひらいた」(作詞・作曲不詳) の歌詞は、つぎの通り。 (1) ひらいた/ひらいた/なんのはなが/ひらいた/れんげのはなが/ひらいた/ひらいたと/おもったら/いつのまにか/つぼんだ (2) つぼんだ/つぼんだ/なんのはなが/つぼんだ/れんげのはなが/つぼんだ/つぼんだと/おもったら/いつのまにか/ひらいた

ひらいたひらいた れんげの花って、池や沼の水の上に咲く、ハスの花のことなの。赤や白や桃色の大きな花は、夏の朝、お日さまの光を受けると開いて、みんながおやつを食べる3時ころにはつぼむの。そして、次の日も開いてつぼんで、その次の日も開いてつぼんで、4日めには散ってしまうの。お姫さまのようにきれいな花なのに、たった3日しか咲かないなんて、なんだか、かわいそうな花ね。でも、この歌をみんなでうたいながら遊ぶのは、とっても楽しいわよ。みんなの手をつないで作った大きな花の輪を「ひらいたひらいた」と歌って広げ、「いつのまにかつぼんだ」とうたってつぼめ、「つぼんだとおもったら、いつのまにかひらいた」とうたって、もういちど広げるの。ハスの花が、ほんとうに、開いたりつぼんだりしているように見えるのよ。こうして、お友だちと手をつないで遊んだら、みんな、もっともっと仲よしになるわね。

この歌には、ちょっとしたエピソードがある。当時の小学1年生の音楽の教科書に、この歌が掲載されていた。次の通り(改訂前)、描かれている花はレンゲ草である。これは明らかに間違いなので、文部省(現・文部科学省)へ電話を入れたところ、調べた上で返事をしますという。返事はなかったが、改訂時期でもなかったのに、翌年の教科書では、つぎのように替えられていた。教科書会社も、しまったと思ったに違いない。

「訂正前」
ひらいたひらいた教科書改訂前

「訂正後」
ひらいたひらいた教科書改訂後

投稿日:2005年11月14日(月) 10:05

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)