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テレビの問題点

前回に引き続き、「せかい伝記図書館」の執筆の中心となっていただいた有吉忠行氏の講演記録・第2回目を紹介する。

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たとえば、テレビと比較してみるだけでも、考える読書がいかに大切かよくわかります。もちろん、テレビがすべて悪いというのではありません。テレビにはテレビの価値があります。しかし、人間の思考という立場から考えると、問題が少なくありません。

第1に、テレビは、まず映像がとびこんできます。それに音もとびこんできます。つまり、人間は、本来、自分の頭で自分の心にイメージをつくりあげることが大切なのに、テレビは、その必要をなくしてしまっています。

次に、テレビの映像は、瞬間的に消え去っていきます。したがって、つぎつぎに流れる映像を見ている限り、ひとところに立ちどまって考えることを許しません。さらに問題として大きなことは、テレビの映像は一方的に送られてくるということです。チャンネルをまわして番組を選べばよいではないかといわれても、根本的には、テレビを見るということは、つねに受身です。主体的な行為ではありません。これでは、人間にとってもっとも大切な主体性が失われていくのは、あまりにも当然です。

テレビが普及しはじめてしばらくしてから、テレビによる日本人の総白痴化が予言されたことがあります。テレビに毒されて、いまに日本人がみんなバカになってしまうことを恐れたのです。でも私は、この予言は決してまちがってはいなかったと思います。まちがっていないどころか、いままさに、その極点にきつつあると思います。

このテレビにくらべると、本を読むということは、主体的な行為です。文字の奥にあるものを読みとって、自分でイメージをつくりださなければなりません。それに、感動的な場面にであったら、いつまででも立ちどまって考えることができるし、さらに何度でも読み返すことができます。そのうえ、本をとおして、過去のいかなる偉人とも語りあうことができます。「せかい伝記図書館」 におさめられているソクラテスや孔子などとも話ができるのは、本の世界だけです。だから読書が大切なんです。

投稿日:2005年10月17日(月) 09:34

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)