● 小・中学時代に身につく読書習慣
少年時代 「子ども世界史」 という本で読んだ伝説だというトロヤ戦争が、ほんとうにあったことだと信じ、40年後ついにトロヤの遺跡を掘りおこしたシュリーマン。ガリレオの著書に身ぶるいするような感動を覚え、物理学への道へ進もうと心にきめたアインシュタイン。「兵書」というオランダ語の本を、持ち主が寝ている夜中だけ借りうけ、数ヵ月かけて写しとって西洋の兵術を学んでいった勝海舟。アンデルセンは幼い時、まずしいくつ直しの職人だった父が読んでくれる「アラビアンナイト」を、眼を輝かせて聞いて詩才を養った。マルコポーロの 「東方見聞録」 に書かれた黄金の国ジパング(日本)を求めて、アメリカを発見したコロンブス。持ち主のために三日間働いて、やっと譲りうけた「ワシントン伝」を、暗唱するまでくりかえし読んで、正義とは何かを学んだリンカーン。
少年・少女時代における本との出合いの大切さは、こうした偉人の例をあげるまでもない。読書は知識を増し、情緒を養うと共に、自分をみつめ、ものを深く考える力をつちかってくれる。
このように大切な読書習慣であるが、この習慣をつけるには、きっかけと環境を必要とする。おとなのさまざまな工夫が必要だ。いつもかたわらに本をおき、本にふれるチャンスと時間を与えたいもの。そして何よりの環境づくりは、両親が日々読書に挑戦している姿を、子どもたちに見せることではないだろうか。