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「せかい伝記図書館」の特色 (3)

● 小・中学時代に身につく読書習慣

少年時代 「子ども世界史」 という本で読んだ伝説だというトロヤ戦争が、ほんとうにあったことだと信じ、40年後ついにトロヤの遺跡を掘りおこしたシュリーマン。ガリレオの著書に身ぶるいするような感動を覚え、物理学への道へ進もうと心にきめたアインシュタイン。「兵書」というオランダ語の本を、持ち主が寝ている夜中だけ借りうけ、数ヵ月かけて写しとって西洋の兵術を学んでいった勝海舟。アンデルセンは幼い時、まずしいくつ直しの職人だった父が読んでくれる「アラビアンナイト」を、眼を輝かせて聞いて詩才を養った。マルコポーロの 「東方見聞録」 に書かれた黄金の国ジパング(日本)を求めて、アメリカを発見したコロンブス。持ち主のために三日間働いて、やっと譲りうけた「ワシントン伝」を、暗唱するまでくりかえし読んで、正義とは何かを学んだリンカーン。

少年・少女時代における本との出合いの大切さは、こうした偉人の例をあげるまでもない。読書は知識を増し、情緒を養うと共に、自分をみつめ、ものを深く考える力をつちかってくれる。

このように大切な読書習慣であるが、この習慣をつけるには、きっかけと環境を必要とする。おとなのさまざまな工夫が必要だ。いつもかたわらに本をおき、本にふれるチャンスと時間を与えたいもの。そして何よりの環境づくりは、両親が日々読書に挑戦している姿を、子どもたちに見せることではないだろうか。

投稿日:2005年10月12日(水) 09:18

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)