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家庭教育の大切さ

「童話」と「科学」は決して対立するものでなく、どちらも子どもたちの広い世界を知りたいという欲求を満足させるジャンルである。童話は [想像の世界] であり、科学は [現実の世界] である。車の両輪のようなもので、一方が欠けては成り立ち得ない人間の精神生活の2大支柱だといってよいだろう。この両者をバランスよく与えてこそ、子どもたちの健全な世界観がつちかわれる。

ところが「童話」はともかく、「科学」というと、多くの人は学者や専門家でなければよくわからないもの、という一種の恐怖感をいだきがちだ。特にお母さん方には、科学に弱いと自認している人が少なくない。おそらく学生時代に、よくわからないまま覚えさせられた法則とか定理とかいうものが頭にこびりついているせいなのだろう。

しかし本来、子どもは好奇心、探究心に満ちあふれた存在で、じっくり観察してみると、おとなが考えている以上に、子どもたちの日常生活には科学が精力的にとり入れられている。この「科学する心」を伸ばしてやれるかどうかは、まさに親の手ひとつにかかっているといっても過言ではない。

たとえば、ミミズを指でつまんで「ミミズって何を食べてるの?」という子どもの質問に対し、「まあ、きたない。早く捨てちゃいなさい」 と、ヒステリックにいうお母さんをよくみかける。

いっぽう「土を食べて土を糞にしているの。土の中にある枯れ葉や、ちっちゃな虫や、動物のたまごが栄養になっているのよ。ミミズがそうやって土をたがやしてくれるおかげで、野菜や作もつがよく育つの。ミミズってとても人間に役立つ生きものだから、だいじにしましょうね」(「かがくしっもんばこ」2-45 ページ )というお母さんと、子どもの将来に与える影響は、どんなに大きな差になってあらわれるか計りしれない。ぜひ、こういう母親をめざしてもらいたいものである。

投稿日:2005年09月14日(水) 09:20

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)