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質問をする子どもたち

当時の私は、2人の子どもたちから質問ぜめの毎日だった。これまでは5歳の子からの質問が大半だったのが、下の子も負けずにはじめるようになり「あれは何なの?」「どうして?」「なぜなの?」絵本を読んであげても、テレビを見ていても、道を歩いていても、よくもこんなに質問することがあるかと思うばかりの集中攻撃だ。

心理学では、子どもがこのように質問を連発する時期を、質問期と名づけている。知能の芽、探究心の芽がぐんぐん伸びはじめている時期で、3・4歳時頃の、身辺にあるものを指さして名前を聞く時期を第1質問期、4・5歳の物事や事象の原因や結果を聞く時代を第2質問期という。

第1質問期では、なかなか説明しにくいことでも、何とか説明してあげるだけで満足している例が少なくない。ところが、第2質問期といわれる4・5歳になると、思いつきやごまかしの回答では満足しなくなる。おとなの常識をこえた、奇抜な質問をしてくるのもこの時期だ。おまけに、子どもの限られた経験や思考力に応じたわかりやすい回答をしなくてはならないのだから、親たるものなかなか大変なことである。

あまりのしつこさに 「うるさい子ね、すこしは静かにしてよ」 「いま忙しいんだからあとにして! 」 「大きくなったらわかるわよ」 「お兄ちゃんに聞きなさい」 「何度いえばわかるの」 「そんなこと知るもんですか」 といったような返事をしがちである。

これが特別の場合ならいざ知らず、何時いつも誠意ある回答をしないと、子どもたちは質問にやってこなくなる。このことが、知らずしらずのうちに、いつか花開く才能の芽をつみとっているかもしれないのだ。

投稿日:2005年09月09日(金) 09:43

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)