さまざま研究結果によると、[学習意欲にかげりのある子どもは、幼児期にある質問期を、うまく乗りきれなかったことによって生まれる] という。またある心理学者は、子どもの伸びようとする知能の芽を刈りとってしまうと、一生知能の低いボンヤリした人間になってしまうと指摘している。わかったという満足感、知ったという喜びこそ、学ぶことへの前向きの心を育てるのだ。
子どもの質問は、知能がどんどん発達して、ものごとに強い興味をひかれている証拠なのだから、忙しい時でも時間をつくり、ていねいに、上手に答えてやる必要があることを強調したい。
子どもたちの数々の疑問に対処するため、親たちの虎の巻としてつくりあげたのが、「こども科学図書館」 の最後にある4冊 「かがくしつもんばこ」 である。1冊目が人体に関すること、2冊目が動植物について、3冊目が物理・化学編、4冊目が人のくらしの中からの疑問を中心に回答している。さまざまなデータから、子どもたちから質問の多い100余項目を選んだ。
幼児にはむずかしすぎる回答もあるかもしれないが、子どもたちの知的発達に応じて回答していける工夫をした。要は、子どもの心理状態をよく理解して、やさしくわかりやすく回答すること、子どもが安心して次々に質問できるようなムードをつくってあげることが大切だろう。そして、質問してきた時こそ、子どもの知識欲も理解力も充実している時だから、本を調べてあげることも含めて、できるだけその場で回答したいものである。