とかく私を含め多くの親たちは、子どもたちの物事を深く知ろう、疑問を解決しようという心の動きを知ろうとしない傾向がある。おとなのそんな態度が幼い心を傷つけ、伸びようとする探究心の芽をつみとってしまいがちだ。
以前にもこんなことがあった。上の子が4歳になった誕生日のプレゼントに、電池でレールの上を動く小さな汽車を買ってあげた。8の字型になったレールの上にその汽車を走らせ、スイッチを入れたり切ったり、トンネルを出たり入ったり、レールの入れ替えなどをして小1時間も楽しそうに遊んでいた。ところが、だいぶ静かになったなと思っていたら、「汽車がこわれちゃった」と、急に泣きだしたのである。
見ると、汽車の屋根はちらばり、中のモーターが畳の上に落ちている。あやうく、「買ってあげたばかりなのに、もうこわして」 と出かかったが、そのわけを聞くと、汽車がどうやって動くのか調べたくなり、屋根をはずしていじくりまわしているうち、モーターがはずれて動かなくなったことがわかった。
そこで私は、落ちていたモーターが電池の力でまわり、車輪を回して汽車が走ること。モーターは磁石になっていること。ついでに、釘にエナメル線をまいて磁石をつくって説明してあげた。こうして、なんとか修理して動きだした汽車をみて子どもはニツコリ笑い、ほんとうにわかったのかどうか、弟に「この汽車はモーターの磁石で動いているんだぞ。すごいだろう」と解説しているのにはおかしくなった。同時に、結果だけみてしかりつけることはできるだけ避けるようと反省し、「科学する心」を素直に育ててやりたいと思ったものだ。