幼児向とはいえ、英語の総合教材に絵辞典を欠かかすことができない。「セサミえいごワールド」の総合セットにも、絵辞典を組み入れてほしいと要望した。セサミワークショップの制作による「セサミストリートの絵辞典」英語版は、世界的に大ロングセラーをつづけていて、日本語版も偕成社から刊行されている。そのため、あまり手をかけることなく作れるだろうと思った。
しかし、「セサミストリート」と「セサミえいごワールド」は、カリキュラムも違うし、ねらいも違うということで、一から作らなくてはならないことが判明した。まず、日本で活躍する十数人のイラストレーターをピックアップして作品を添え、セサミワークショップ側に描き方のタイプがふさわしいかのチェックを受ける。最終的に6人に承認がおり、テーマ別に描いたラフ原稿を送る。チェックが入り、それを訂正したラフの第2稿を送る。時には第3稿、第4稿と続く。OKが出て初めてカラーのイラストにした正式の原画を送る。それをまたチェックといったことがくりかえされて、最終的なものとなるわけである。
結果的に、映像のエピソードに直結したテーマが50種類、単語総数約1400語が収録されることになった。今現在中学校の教科書に登場する基本単語が500余語、この基本単語を使用して教科書が作成されるが、文科省の検定を通っている7社の教科書すべてに登場する単語総数でも1100単語程度といわれるから、この「ピクチャー・ディクショナリー」の完成度をわかっていただけると思う。
たとえば、「わたしの顔とからだ」という見開きページには、forehead(ひたい) eyebrow(まゆげ) pointer(ひとさしゆび) pinky(こゆび) belly button(おへそ) ankle(あしくび)など、36種類も登場する。幼児向けとはいえ、日常生活をする上で不自由することのない単語はすべて収録しているわけである。しかも、50種のどのテーマにも、52話の映像のどのエピソードに登場するかを的確に示している。
さらに、すべての単語の音声をテーマ別にCDに収録した。総時間76分、ネイティブの朗読の後に自分でリピートできる間をおく工夫と、発音を妨げない程度にBGMを流して、あきさせない工夫もした。リピトカードの制作と並んで、「セサミえいごワールド」教材の中でも、もっとも時間と労力がかかったのは、そんな理由からだ。