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加賀の一向一揆

今日6月9日は、北陸地方の一向宗(浄土真宗)を信じる農民や武士たちが、対立していた守護の富樫政親を攻めて、1488年に自刃させた日です。これ以後90年間にわたって、一向宗徒は加賀(今の石川県)を支配しました。

仏教の言葉で、阿弥陀の力を借りることを「他力」といい、阿弥陀が過去の世ですべての生きものを救うためにたてた誓願を「本願」といいます。この「他力本願」をもとに「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と念仏をとなえ、阿弥陀にすがれば、次の世には極楽浄土に生まれることができる。この世でよいことをした者だけでなく、慈悲ぶかい阿弥陀は、どんな悪人でも救ってくれる」──。

このように説く浄土真宗は、浄土宗を開いた 法然 の弟子の 親鸞 が開いた (死後、親鸞の阿弥陀をひたすら信じることを説く純粋性が人々をとらえ、浄土真宗の開祖といわれるようになったため) とされています。鎌倉時代の武士中心の政治によって、苦しめられ続けてきた貧しい町民や農民たちに支持されて、あっというまに国じゅうにひろまりました。

ところが、ほかの仏教を信じる僧や武士たちは、法然や親鸞を目の敵にするようになり、1207年に朝廷は、念仏ひとすじの教えを禁止し、法然は土佐へ、親鸞は越後に流されるほどの弾圧をうけたのでした。

そして、親鸞の死後おとろえていた浄土真宗の教えを、かな書きのやさしい言葉、わかりやすい表現でつづった手紙などで民衆の心をとらえ、浄土真宗を再興させたのが蓮如(れんにょ)でした。( 3.25ブログ「一向宗の蓮如」 参照)

一向宗徒は加賀ばかりでなく、1563年には三河の国で 徳川家康 と戦い、家康をもう一歩で滅ぼすところまでせめこみました。さらに、1570年から1580年まで、蓮如の流れをくむ石山本願寺門主の顕如が石山本願寺にこもって 織田信長 と戦うなど、この石山戦争に信長が10年かかったのをみても、一向一揆がどんなに強かったかを物語っているようです。


「6月9日にあった主なできごと」

1671年 ピョートル大帝誕生…ロシアをヨーロッパ列強の一員とし、バルト海交易ルートを確保した ピョートル大帝 が生まれました。

1781年 スチーブンソン誕生…蒸気機関車の実用化に成功したイギリスの技術者 スチーブンソン が生まれました。

1870年 ディッケンズ死去…「オリバー・ツイスト」 「クリスマスキャロル」 「二都物語」 など弱者の視点で社会諷刺した作品群を著しイギリスの国民作家といわれるチャールズ・ディケンズが、亡くなりました。(2008.6.9ブログ 参照)

1886年 山田耕筰誕生…『からたちの花』『赤とんぼ』『この道』などの作曲をはじめ、世界的に著名な交響楽団を指揮するなど、国際的にも活躍した音楽家 山田耕筰 が生まれました。
 
1923年 有島武郎死去… 志賀直哉・武者小路実篤らとともに同人「白樺」に参加し、『一房の葡萄』『カインの末裔』『或る女』などの小説、評論『惜みなく愛は奪ふ』を著した 有島武郎 は、この日軽井沢の別荘で雑誌編集者と心中、センセーショナルをまきおこしました。

投稿日:2010年06月09日(水) 09:14

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)