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『変身』 のカフカ

今日7月3日は、『変身』『審判』『城』など、孤独と不安に悩む人間が陥る非現実的な世界を描き、現代世界文学に大きな影響を与えたチェコの作家カフカが、1883年に生まれた日です。

プラハのユダヤ人の家庭に生まれたカフカは、プラハ大学入学、当初は哲学専攻を希望していましたが、父親から哲学では飯が食えないと反対され、法律を学んだといわれています。

大学卒業後は労災保険局に勤めながら作品を執筆しました。常に不安と孤独の漂う、夢と現実が入り混じったような独自の世界を描いた作品を数多く残しました。特に『変身』は、ある朝目覚めると巨大な虫になっていた男とその家族のてん末を描いた小説で、カフカの代表作といってよいでしょう。今も岩波文庫や新潮文庫で版を重ねており、3〜4時間で読了できる作品ですので、ぜひ目を通されることをお勧めします。

1924年にオーストリアで、わずか40歳の若さで亡くなりますが、生前は『変身』など何冊か知られるだけでしたが、死後、友人によって未完の長編『審判』『城』などが発表されてから再評価を受け、ドイツ語で書かれたおかげて、1935年にはナチス政権下で困難にあいながらも「カフカ全集」の刊行が行なわれました。

カフカが世界的に有名になったのは、サルトル やカミュらフランスの実存主義の文学者が第2次世界大戦中に、カフカに注目してからです。特にサルトルは、実存主義文学の先駆者として評価し、カフカの国際的な名声は決定的なものとなりました。


「7月3日にあった主なできごと」

607年 遣隋使…聖徳太子は、小野妹子に国書を持たせ、隋(中国)に派遣させました。(2008年7月3日ブログ 「遣隋使の小野妹子」参照)

1549年 キリスト教伝来…スペインの宣教師ザビエルは、弟子のヤジロウを案内役として、日本にキリスト教を伝えるために、鹿児島に上陸しました。(2007年12月3日「日本にキリスト教を伝えたザビエル」 参照)

投稿日:2009年07月03日(金) 06:48

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)