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『シラノ・ド・ベルジュラック』 のロスタン

今日12月2日は、フランスの韻文の劇作家で『シラノ・ド・ベルジュラック』の作者として知られるロスタンが、1918年に亡くなった日です。

1864年にマルセイユの豊かな商人の家に生まれたエドモン・ロスタンは、パリ大学に学び、弁護士・外交官など将来どんな道に進むか迷ったようです。やがて、ド・リールやルナールらの文人と交わるうちに、詩劇作家を志すようになりました。

1894年、恋の幻滅と再生を描いた韻文喜劇『ロマネスク』が上演されるとその叙情性が好評を呼び、1897年三幕の聖書劇『サマリアの女』を成功させたあと、同年、いちやくロスタンの名を世界的なものにした『シラノ・ド・ベルジュラック』が大当たりしました。シラノ(17世紀に実在した人物)は、学者で詩人で軍人で、おまけに天下無双の剣客ですが、美男とはほど遠い大鼻の持主です。この豪傑が、同僚の色男クリスチャンから、シラノが秘かに想いをかける従妹ロクサーヌとの仲をとりもって欲しいと頼まれ、シラノは恋の取り持ちを引受けて、ラブレターの代筆をすることになります……。

美が伴わなければ、愛を向けられないのか、醜男シラノの恋と冒険に生きるさまが、ロマン主義の英雄として大衆の共感をえたのでしょう。1897年年末の幕開けから500日間、パリじゅうを興奮のうずに巻きこみました。こうしてシラノは、ロスタンの劇化で人情味あふれる詩人として描かれ、フランス一の人気者となったのでした。この5幕からなる作品は、現在に至るまで各国でひんぱんに上演されています。

その後ロスタンは、1900年にナポレオン2世を描いた悲劇『鷲の子』、1910年に鳥ばかりが登場する『東天紅』などを上演しますが、世評はシラノに遠くおよびませんでした。


「12月2日にあった主なできごと」

1804年 ナポレオンの戴冠式…パリのノートルダム寺院において、ナポレオン が皇帝となる戴冠式が行なわれました。ナポレオンは、自らの手で王冠を頭上に置き、王妃の頭上にも置きました。王冠は、法王から授かれるものではなく、自分の手で獲得したものであることを強調したものでした。この華やかな模様は、ルーブル美術館とベルサイユ宮殿にあるダビッドの名画に描かれています。

1823年 モンロー宣言…アメリカ合衆国の第5代大統領ジェームズ・モンローが議会で、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱した日です。この提唱は「モンロー宣言」とよばれ、アメリカ外交の基本方針となりました。

1929年 北京原人の頭骨発見…北京郊外の周口店にある洞窟の中で、人類の頭蓋骨の化石が見つかり、北京原人と名づけられました。北京原人はアフリカ大陸に起源を持つ原人のひとつですが、現生人類の祖先ではなく、何らかの理由で絶滅したようです。この北京原人遺跡は1987年にユネスコの世界遺産として登録されました。

投稿日:2011年12月02日(金) 04:59

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)