児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  今日はこんな日 >  電気と磁気の父・ギルバート

電気と磁気の父・ギルバート

今日12月10日は、イギリスの医師・物理学者として活躍したギルバートが、1603年に亡くなった日です。

ウィリアム・ギルバートは、イギリス東南部のコルチェスターで、1544年に生まれました。父は、町の代議士や裁判官をつとめる有力者でした。17歳の時ケンブリッジ大学に入り、医学や数学を学び、イタリアに留学後ロンドンで開業医となりました。その後、エリザベス一世 の侍医となり、女王が亡くなるまで仕えました。

研究が好きで、暮らしも豊かだったため、ギルバートの家には、患者ばかりでなく、さまざまな学者が集まってきました。いろいろな問題について報告しあったり、活発に議論を重ねるうち、自宅に化学や物理の実験をするための実験室や工作所を作って、心おきなく新しい科学の問題を研究することができたようです。特に力を入れたのは、これまで悪魔のしわざといわれてきた磁石の研究でした。

1600年にギルバートは、20年間もの研究の成果を『磁石の研究』という本に著し、[地球は巨大な磁石である] ことを明らかにしました。磁石にはS極とN極があること、同名の極同士は反発し、異名の極は引き合うこと、磁石を小さく切るとそれぞれが小さな磁石になることなどを筋道をたてて説明しています。さらに小さい球磁石を自分の工作所でこしらえ、その表面に小さな磁針をいくつか立て、おたがいの働きを調べた末に、地球もまたこれと同じ性質のものであることを明らかにしました。

さらに「まさつ電気」の研究も行い、電気と磁気は違った働きのものであることを確かめています。また電気に「エレクトリック」という名称をつけたことでも知られ、実験を用いた近代的な科学の先駆者として、その後250年間にわたる電気や磁気の研究に大きな影響を及ぼし、こんにちのような電気文明が誕生する礎をこしらえました。なお、磁位・起磁力の単位であるギルバートは、彼の名にちなんでいます。


「12月10日にあった主なできごと」

1896年 ノーベル死去…ダイナマイトを発明したスウェーデンの化学技術者ノーベルが亡くなりました。「人間のためになると思って苦労して発明したものが、人々を不幸にしている」── そう気づいたノーベルは、死ぬ前に遺言を書きました。「財産をスウェーデン科学学士院に寄付するので、そのお金の利子を人類の平和と進歩のためにつくした人に賞として贈ってほしい」。こうしてノーベルの死後5年目の1901年から、遺志にしたがって「ノーベル賞」を贈ることがはじまり、命日であるこの日が授賞式となりました。(2009.12.10ブログ参照)
なお、今年の日本人のノーベル賞受賞者は、鈴木章(北海道大学名誉教授)と根岸英一(アメリカ・バデュー大学特別教授)の両氏で、有機化合物の革新的な合成法を、それぞれ独自に開発した功績が評価され、化学賞が授与されます。これで、日本人のノーベル賞受賞者は18名となりました。

投稿日:2010年12月10日(金) 07:01

 <  前の記事 『失楽園』 のミルトン  |  トップページ  |  次の記事 自然主義文学を代表する田山花袋  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/2275

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)