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「キリストの洗礼」 の天使

今日4月15日は、ルネッサンス期に絵画・建築・彫刻そして自然科学にも通じていた万能の天才と讃えられるレオナルド・ダビンチが、1452年に生まれた日です。

この絵は、後にキリストの弟子となるヨハネが、キリストに洗礼をほどこしているところです。洗礼というのは、一切のけがれを洗い清めることです。ヨハネはヨルダン川で、罪を悔い改めた人々に洗礼をほどこしていましたが、後に、キリスト教の聖なる儀式のひとつになりました。

ヨハネが多くの人に洗礼をほどこしていたとき、キリストがガリラヤから洗礼を受けに来ました。ヨハネは、「わたしこそあなたから洗礼を受けなくてはならない者です」といって辞退しましたが、キリストは説得してヨハネからこのような洗礼をうけました。(新約聖書より)

davinchi.bmp

レオナルドが、父に連れられて故郷のビンチ村から、フィレンツェに出てきて、ベロッキオ工房に入門したのは、1466年頃のことでした。ベロッキオ30歳、レオナルドは14歳でした。レオナルドは、1472年20歳の時、修業の徒弟時代を終えて、フィレンツェの画家組合に入り、親方として一本立ちできる腕前になりました。

でもレオナルドは、ベロッキオ工房が気に入ったのでしょう。しばらくベロッキオのもとに住んでいて、「キリストの洗礼」は、1476年24歳の頃に描かれたようです。ルネサンス時代の美術家で、当時の有名な美術家たちの伝記を書いたバサーリの「レオナルド伝」にこの絵のことが書いてあり、ベロッキオは、ベロムプローザ僧団から聖サルビ僧院の祭壇画をたのまれ、この絵を描きました。その時弟子であるレオナルドを助手に使いました。

この絵には、キリストとヨハネのほかに左端に二人の天使がひざまずいています。自分の描いた左から二人目の天使より、レオナルドが描いたいちばん左側のキリストの聖衣を捧げもつ天使のほうがずっと上手だったので、ベロッキオはそれ以来2度と絵筆をとらず、彫刻に専念したということです。この話は事実かどうかわかりませんが、この左側の天使は当時のフィレンツェ美術界に目を見張らせた画期的な創作であったことは間違いありません。

レオナルドの詳しい生涯につきましては、いずみ書房「せかい伝記図書館」 (オンラインブック「レオナルド・ダ・ビンチ」) をご覧ください。なお、2007年9月14日のブログ では、ダビンチの代表作「モナリザ」について綴っています。あわせて参考にしていただければ幸いです。


「4月15日にあった主なできごと」

905年 古今和歌集完成…古今和歌集(古今集)は、日本で最初の勅撰(天皇の命令で和歌などを編集)和歌集で、醍醐天皇の命によって 紀貫之 ら4名によって編まれ、この日、約1100首、20巻が醍醐天皇に奏上されました。「枕草子」を著した 清少納言 は、古今集を暗唱することが平安中期の貴族にとって教養とみなされたと記しています。紀貫之の作品は、オンライン和歌集「千人万首」で読むことができます。

投稿日:2009年04月15日(水) 09:32

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コメント (1)

三好永作:

「後にキリストの弟子となるヨハネが、キリストに洗礼をほどこし」と書かれていますが,キリストを洗礼したヨハネは,洗礼者聖ヨハネといわれ,多くの絵画の中で聖母子とともに描かれており,弟子のヨハネとは別人と考えられています.
参照:阿刀田高「新約聖書を知っていますか」(新潮社文庫)

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)