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ペニシリンの発見者フレミング

今日8月6日は、青かびからとりだした物質が大きな殺菌力をもつことを偶然に発見し、ペニシリンと命名して世界の医学者を驚かせたフレミングが、1881年に生まれた日です。

ペニシリンを発見したイギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングは、スコットランドで生まれました。父は農民でしたが、フレミングが7歳のときに亡くなりました。

フレミングは、幼いときから観察力がすぐれていました。また、次からつぎへと新しいことを考える才能をもっていました。子どものときから科学者になる素質があったのかもしれません。

14歳のとき、兄が眼科の病院を開業しているロンドンへでました。そして、工芸学校で2年間学び、そのご4年ほど商船会社ではたらいたのち、セント・メアリーズ医学校へ進みました。

医学校を卒業すると、細菌学の道をえらび、セント・メアリーズ病院の予防接種研究室へ入りました。白衣をつけたはなやかな医者にくらべると、収入も少ない研究者の道が楽ではないということは、よくわかっていました。しかし、フレミングは、自分のことよりも人のために生きる人生をえらんだのです。

最初の研究は、顔にできるにきびでした。それは命にかかわるような病気の研究からみると小さな研究でしたが、研究者はけっしてあせってはいけないことを知っていたフレミングは、たとえ目だたない研究でも、全力をそそぎました。

1914年に第1次世界大戦が始まると、軍医として野戦病院で、負傷兵の手当てにあたりました。すると傷の治療をしているうちに思いがけないことを発見しました。消毒薬は、傷口の殺菌にはほとんど役だたないばかりか、場合によっては、むしろ菌をはんしょくさせている、ということをつきとめたのです。

「からだの外からつける薬にたよってはだめだ。体内に入りこむ菌に対する、からだの抵抗力を強めさせる薬が必要なんだ」

それからのフレミングは、動物の組織をいためないで菌を殺す物質の研究にうちこみました。まず、だ液、鼻汁、涙を使った実験をくり返して、それらには自然に菌をとかしてしまう物質がふくまれていることを発見し、その物質をリゾチームと名づけました。

ペニシリン発見のかぎをさがしあてたのは、このリゾチームの研究をしていたときのことです。あるとき、菌の培養器に青かびが落ちこみました。すると、菌が死んでいくではありませんか。どんな小さなことも見のがさないフレミングは、青かびにとびつきました。そして実験に実験をかさねて、青かびからとりだした物質が大きな殺菌力をもっていることを証明しました。これが世界の医学者をおどろかせたペニシリンです。

フレミングは1945年にノーベル生理・医学賞を受賞しました。

以上の文は、いずみ書房「せかい伝記図書館」(オンラインブックで「伝記」を公開中) 16巻「アムンゼン・チャーチル・シュバイツァー」の後半に収録されている7名の「小伝」から引用しました。近日中に、300余名の「小伝」を公開する予定です。ご期待ください。

なお今日8月6日は、人類がはじめて原子爆弾を落とした日です。昨年のブログに 「広島に原爆を落とされた日」 として記述していますので、あわせて参考にしてください。

投稿日:2008年08月06日(水) 09:06

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)