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尊王愛国を説いた山崎闇斎

今日12月9日は、江戸時代前期の儒学者・神道家で、幕末の志士たちに大きな影響を与えた山崎闇斎(やまざき あんさい)が、1619年に生まれた日です。

鍼(はり)医の子として京都に生まれた山崎闇斎(名=敬義、闇斎=号)は、幼いころから比叡山延暦寺の稚児となり、1632年に京都・妙心寺に移って僧となりました。1936年には実力を評価されて土佐国(高知)・吸江寺に移り、土佐南学派の谷時中から朱子学の手ほどきを受け、同門の野中兼山らと交わるうちに儒学者として身を立てたいと思うにいたりました。1642年、25歳で還俗(げんぞく=僧をすて一般人になる)すると儒学者となり、1655年38歳のとき京都に、野中から贈られた家で塾を開設しました。

1658年江戸に出ると、知人の家に身をよせながら門弟を育て、笠間藩主や大洲藩主らと交流するうち、1665年に会津藩主・保科正之に迎えられ、藩政への助言者となりました。正之は徳川3代将軍家光の異母兄弟で幕政にも強い発言力をもっており、闇斎とその門下を盛りたててくれたことは幸いでした。京都、江戸を半年ごとに行き来しながらその思想を広めました。

1671年に正之が亡くなったことで、闇斎は京都にもどり、やがて吉川惟足(これたり)の影響で、神道研究にも本格的に取り組むようになり、従来の神道と儒学を統合して、垂加神道(すいかしんとう)という独自の体系を生みだしました。

闇斎は1682年に亡くなりましたが、『垂加草全集』『文会筆録』など、たくさんの著書を残しました。朱子学を中心にした独自の儒学は「闇齋学」、その系統を「崎門(きもん)学派」といわれ、弟子たち崎門門人は、儒学系と神道系とあわせ6000人にものぼりました。

なお闇斎の思想は、崎門門人たちに受けつがれ、水戸学・国学などとともに、幕末の尊王攘夷思想に大きな影響を与えたことはよく知られています。


「12月9日にあった主なできごと」

1860年 嘉納治五郎誕生…講道館柔道の創始者であり、日本のオリンピック初参加に尽力するなどスポーツの海外への道を開いた嘉納治五郎が生まれました。

1916年 夏目漱石死去…『坊ちゃん』『吾輩は猫である』『草枕』などの小説で、森鴎外と並び近代日本文学界の巨星といわれる夏目漱石が亡くなりました。

1945年 農地改革…連合国軍総司令部(GHQ)は、占領政策として経済構造の民主化をはかりましたが、そのひとつが、この日指令された「農地改革に関する覚書」でした。1947年から49年の間に、全国260万町歩の小作地のうち200万町歩が自作農に解放され、地主制はほぼ壊滅することになりました。

投稿日:2013年12月09日(月) 05:02

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)