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「怪盗ルパン」 とルブラン

今日11月6日は、怪盗紳士「アルセーヌ・ルパン」シリーズの作者として名高いフランスの小説家ルプランが、1941年に亡くなった日です。

1864年、フランス北西部ノルマンディー地方の都市ルーアンで生まれたモーリス・ルブランは、地元の高等中学を卒業後、織機製造会社に勤めましたが、やがて作家をめざしてパリに出ました。新聞記者をしながら純文学作品を書くうち、文壇で多少の評価を得るようになりましたが、たいした収入には結びつかず、貧乏作家生活が40歳近くまで続きました。

1904年、友人の編集者に大衆小説の執筆を依頼されたことから転機が訪れました。通俗作家への転向に気が進まないながらもルブランは、当時の市議会議員アルセーヌ・ロバンの名をもじって、「泥棒紳士」アルセーヌ・ルパンを創り出しました。これが1905年に発表された短編『アルセーヌ・ルパンの逮捕』で、盗賊でありながら冒険家で探偵でもある魅力的な作品で、ルパンはたちまち人気者になりました。

出版社の要請で続編を書くことになったルブランは、『アルセーヌ・ルパンの冒険』にはじまり、殺人現場に残されていた事件をあつかった1910年の『813』、政界をふるえあがらせる疑獄事件をえがいた1912年の『水晶の栓』などの作品によって、世界的なベストセラー作家となりました。結果的に、その後のルブランの作家人生は、ルパンシリーズへ注ぎこむことになり、20巻もの長編作品となって、コナン・ドイルの『シャーロックホームズ』シリーズがイギリスを代表する探偵小説のように、フランス人の民衆の心をつかんでフランスを代表する探偵小説シリーズとなったのでした。

「国民的英雄・ルパン」の創造によってレジオンドヌール勲章を授与されたルブランは、亡くなる数週間前に、「ルパンが私のまわりに出没していろいろ邪魔をする」という内容の被害届を警察署に出したことで、警察官が24時間体制で警備したと伝えられています。

なお、オンライン図書館「青空文庫」では、ルパンシリーズの『奇巌城』(菊池寛訳)などを読むことができます。


「11月6日にあった主なできごと」

1494年 スレイマン誕生…オスマン帝国第10代スルタンとして13回にもおよぶ遠征の末、地中海の制海権をにぎって「世界の帝王」と呼ばれたスレイマンが生まれました。

1945年 財閥解体…太平洋戦争敗戦後に日本を占領し、間接統治を行なっていたGHQ(連合国軍司令本部)は、三井、三菱、住友、安田など15財閥83社の解体を指令しました。これらの財閥が、日本経済をささえ戦争をすすめる原動力になっていたと判断したためです。しかし、財閥は解体されたものの財閥の流れをくむ企業の大半は、大規模な企業グループを形成していきました。

1956年 スエズ戦争停戦…スエズ運河の国有化宣言をしたエジプトに対し、イギリスとフランスが反対を決議。さらにエジプトと対立関係にあったイスラエル軍がエジプトに侵入したのをキッカケに、英仏軍も武力攻撃を開始してスエズ戦争(第2次中東戦争・スエズ動乱)が始まりました。エジプトの抵抗、アラブ諸国のエジプト支持、国際連合の批判などにより、この日英仏は軍隊を引き上げることに同意しました。

投稿日:2012年11月06日(火) 05:43

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)