今日5月29日は、グラナドス、ファリアとともに、スペイン近代音楽を代表する作曲家の一人のアルベニスが、1860年に生まれた日です。
カタルーニャ地方のカンプロドンで税官吏の家に生まれイサーク・アルベニスは、幼いころからピアノの才能を発揮して、4歳の時にバルセロナで公開ピアノ演奏をするほどでした。6歳でパリに出てパリ音楽院へ入学が許可されたものの、教師の鏡にボールをぶつけて壊したため、入学を取り消されたというエピソードが残されています。
9歳でマドリッドの王立音楽院に入りましたが、いたずら好きで冒険心旺盛な性格は相変らずで、なんども寮を抜け出し、スペイン各地で演奏会を開きました。12歳のときに冒険小説に刺激されて単身で南米に渡り、1876年にはライプツィヒの音楽院で短期間学んだ後、1877年から3年間にブリュッセル音楽院で学びました。巨匠リストに学んでピアニスト・作曲家として売り出したと人に語ったそうですが、このあたりはまゆつばものとされています。
1885年、マドリッドに移り住むと、本格的に演奏と作曲活動に入り、たくさんのピアノ曲、歌曲、オペラを残しました。1890年代にはロンドンとパリに住み、世紀末のパリではドビュッシーやラベルらと交遊しました。
1909年に49歳で亡くなりますが生涯に残した作品は400曲あまりで、およそ250曲がピアノの小品です。スペイン各地の舞曲のリズムと民謡風のメロディを素材に、ギター的手法でまとめられています。事実、アルベニスの曲は、広くクラシック・ギター用に編曲されて、ギター・リサイタルでは人気の高い曲がたくさんあります。とくに1890年に作曲された組曲『スペイン』(作品165)は、「前奏曲」「タンゴ」「マラゲーニャ」(入江のざわめき)「セレナータ」「カタルーニャ奇想曲」「ソルツィーコ」の6曲から構成された魅力的な名曲です。また、『イベリア』は、高度なピアノ技法を駆使した12曲からなる組曲で、ピアノ音楽史上、画期的な名作とされ、腕に自信のあるピアニストが好んで演奏する作品です。
「5月29日にあった主なできごと」
1917年 ケネディ誕生…わずか43歳で第35代アメリカ大統領となり、対ソ連に対し平和共存を訴え、こころざし半ばで暗殺されたケネディが生まれました。
1942年 与謝野晶子死去…明治から昭和にかけて歌人・詩人・作家・思想家として活躍した与謝野晶子が亡くなりました。
1953年 エベレスト初登頂…イギリス登山隊のヒラリーとシェルパのノルゲイが、世界最高峰のエベレスト(チョモランマ)の初登頂に成功しました。