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夢を掘り当てたシュリーマン

今日12月26日は、ホメロスが紀元前800年ころに書いたといわれる 「イリアス」 「オデュッセイア」 に出てくる伝説の都市トロヤが、実在することを発掘によって証明したドイツの考古学者で実業家のシュリーマンが、1890年に亡くなった日です。

1822年、プロイセン(ドイツ)北部のシュべェリン近郊で、貧しい牧師の家に生まれたハインリヒ・シュリーマンは、8歳のとき父からプレゼントされた『子どものための世界史』のトロヤ落城の挿絵に魅せられ、トロヤ遺跡の発掘を生涯の夢として追い続ける決心をしたといわれています。しかし、貧しかったために13歳でギムナジウムに入学するものの、1836年に退学して食品会社の徒弟、船の給仕など職を転々とするうち、オランダのある貿易商会に定職を持ちました。

仕事の合間にシュリーマンは、独学でフランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、英語、ロシア語など7か国語をマスターし、その言語能力を生かし、1846年にロシアのサンクトペテルブルクに商社を設立、さらにゴールドラッシュにわくアメリカ・カリフォルニア州にも商社を設立して成功をおさめ、巨万の資産を築いたのでした。

そして、40歳を過ぎたころ事業からいっさい手をひいたシュリーマンは、ギリシア語と考古学の研究の後、1870年から少年時代からの夢であるトロヤの発掘に取りかかりました。学界の定説だった海に遠いピナルバシの丘に反して、トロヤは海に近いヒッサルリクの丘であると確信したシュリーマンは、9層もの都市の跡を発見し、専門の学者たちを驚かせました。こうしてホメロス伝説が、史実に基づいた物語であることを証明したのです。

さらに1876年には、これも直感によってミケーネにねらいをさだめ、「黄金の仮面」をはじめとする副葬品を数多く発掘し、ギリシアの先史文明を考古学的に実証しました。

なお、シュリーマンの詳しい生涯につきましては、いずみ書房のホームページで公開しているオンラインブック「せかい伝記図書館」11巻目「シュリーマン」をぜひご覧ください。


「12月26日にあった主なできごと」

1542年 徳川家康誕生…応仁の乱以降100年以上も続いた戦乱に終止符を打ち、織田信長、豊臣秀吉により統一された天下をさらに磐石なものとする江戸幕府を開いた 徳川家康 が生まれました。

1758年 松平定信誕生…江戸時代中期、田沼意次一族の放漫財政を批判して「寛政の改革」を行った 松平定信 が生まれました。

1888年 菊池寛誕生…『屋上の狂人』『父帰る』『恩讐の彼方に』などを著した作家で、文藝春秋社を創設し、芥川賞・直木賞をを創設した 菊池寛 が誕生しました。

投稿日:2011年12月26日(月) 07:32

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)