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『赤毛のアン』 のモンゴメリー

今日11月30日は、『赤毛のアン』シリーズを著わしたカナダの女流作家モンゴメリーが、1874年に生まれた日です。

カナダ東部にあるプリンス・エドワード島で生まれたルーシー・モード・モンゴメリーは、1歳半で母を亡くし、父はカナダ西部へ移住したため、モンゴメリーは同島のキャベンディッシュで郵便局を営む母方の祖父母に引き取られ、厳しく育てられました。 幼いころから読書や書くことが好きで、15歳のときに地方紙に詩を載せたりしました。

本土の東海岸にある都市ハリファックスの大学を卒業後、プリンス・エドワード島のいくつかの学校で教師を務めましたが、祖父が亡くなったことで、後をつぐためにキャベンディッシュに戻ります。郵便局の仕事のかたわら、新聞記事で読んだ「男の子と間違えて女の子を引き取った夫婦の話」に着想を得て、自身の少女時代の体験を孤児アンに反映させた長編小説『赤毛のアン』を30歳の頃に書き上げました。さまざまな出版社に売り込みましたがことわられ続け、3年後の1908年にようやく出版されると、たちまちベストセラーになり、映画化もされて世界的なヒットになりました。

この『赤毛のアン』は、ある農家に、養護施設からから間違ってもらわれてきた、貧弱で赤毛のアンが、11歳からクィーン学院を卒業するまでの少女時代の5年間を描いたものです。明るく空想好きの少女が、何度失敗をしても、そのたびに心の成長をしていく姿に、たくさんの人が感動したのでしょう。『トムソーヤの冒険』で名高いアメリカの作家マーク・トウェーンは「不滅のアリス(『不思議の国のアリス』他)以来、最も可愛らしく、最も感動的で、最も利発な子」と、モンゴメリーへ絶賛の手紙を送りました。このコピーは、アン・シリーズの宣伝用に使用されたようです。

『赤毛のアン』の大成功にモンゴメリーは、アンを主人公とする続編『アンの青春』『アンの愛情』『アンの幸福』など全10冊のアン・シリーズを次々に出版し、アンの物語を読み進めるうちに、学ぶべき生き方を読者に提供していきました。そして、1942年にトロントで亡くなるまでに、22点の小説を遺しています。

『赤毛のアン』シリーズは今も人気作品ですが、1979年1年間にわたってフジテレビ系「世界名作劇場」で放送されたテレビアニメ全50話は特に有名で、輸出されて世界じゅうの子どもたちを感銘させています。また、2010年にはテレビシリーズの第1〜6話を再編集した映画『赤毛のアン・グリーンゲーブルズ(緑の切妻屋根)への道』が公開されました。


「11月30日にあった主なできごと」

1667年 スウィフト誕生… 『ガリバー旅行記』 などを著したイギリスの風刺作家 スウィフト が生まれました。

1835年 マーク・トウェーン誕生…少年文学『トムソーヤの冒険』『ハックルベリーフィンの冒険』や『王子と乞食』などユーモアのなかにするどい社会風刺をもりこんだ数々の作品を著したアメリカの作家 マーク・トウェーン が生まれました。

1874年 チャーチル誕生…第2次世界大戦の際、イギリス首相として連合国を勝利に導くのに大きな力を発揮した チャーチル が生まれました。

投稿日:2011年11月30日(水) 06:51

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)