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ロールシャッハ・テスト

今日11月8日は、人格診断テストを考案したスイスの精神病理学者ロールシャッハが、1884年に生まれた日です。

チューリッヒに生まれ、シャフハウゼンで育ったヘルマン・ロールシャッハは、画家だった父の影響を受け、幼少のころから絵を書くことが好きでした。そのため、若い頃は芸術家を志しましたが、チューリッヒ大学でオイゲン・ブロイラーの精神医学や精神療法学、ユングの精神病理学を聴講するうち精神療法に興味がうつって、医学を学びました。

卒業後は、精神分析や精神療法の研究にはげみ、スイスの医学会でも注目されるようになって、1919年には「スイス精神分析協会」の副会長に選出されています。そして、1921年に主著となる『精神診断学』を刊行、そこに「ロールシャッハ・テスト」を具体的に示しました。しかし翌年の1922年、盲腸炎を悪化させ、37歳の若さで亡くなってしまいました。

現在でも、投影法による性格検査の代表的な手法のひとつとして有名なこのテストは、紙の上にインクを落とし、それを2つ折りにして広げることにより作成されたほぼ左右対称の図版を持つ10枚組のカード(ロールシャッハ・カード=5枚の明暗図版・2枚の黒赤2色図版・3枚の多色図版)が用いられます。この紙を、被験者に見せて行う人格診断検査法です。

これは同じ図版を見ても、人それぞれ何に見えるか異なるため、シミのどのような特徴が、その人にあるイメージを想起させたかを分析、解釈することで、被験者の人格の特性を分析するものです。カードのシミが何に見えるのかを自由に回答させ、次に質疑を行って、どこにどのように見えたかなどを聴取します。この課程で、反応時間、カードの向き、反応内容(何に見えたか)、反応領域(どこが見えたか)、決定因(どのような特徴から見えたか)が記録されます。

被験者が結果を予想できないため、自由に話をしてもらえるという長所があるものの、熟練しなければ正しい結論を見出せず、理論的根拠が明確でない、という欠点がありました。しかしこのテストも、ロールシャッハの発表以来、長年にわたって広く用いられてきているため、テストへの反応と分析のデータベース化が進み、統計的な評価や理論的な発展をみせているようです。


「11月8日にあった主なできごと」

1895年 エックス線発見…ドイツの物理学者 レントゲン が、実験中になぞの放射線を発見し「]線」と名づけました。]線に感光するフィルムを使って撮影した写真(レントゲン写真)は、肺など身体の内部をうつして診察に役立たれているほか、キュリー 夫妻のラジウムの発見など、放射能の研究にも役立たれています。

投稿日:2011年11月08日(火) 07:37

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)