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職業作家の元祖・山東京伝

今日9月7日は、江戸時代後期を代表する戯作(げさく)者の山東京伝(さんとう きょうでん)が、1816年に亡くなった日です。

「戯作」とは、18世紀後半から江戸でおこった洒落(しゃれ)や風刺を織りまぜながらユーモラスに語る読物の総称で、洒落本、滑稽本、談義本、人情本、読本、草双紙(赤本、黒本、青本、黄表紙、合巻)などがあります。京伝は、浮世絵師・北尾政演(きたおまさのぶ)としても活躍しました。

1761年、江戸深川の質屋の子に生まれた山東京伝(通称・伝蔵)は、裕福な家庭の中で、子どものころから長唄や、三絃に親しみ、浮世絵を本格的に学びました。小説類も耽読し、黄表紙の画工として活躍するいっぽう、18歳で処女作となる黄表紙を著わしました。1782年に発表した黄表紙『御存商売物(ごぞんじのしょうばいもの)』は激賞され、1790年に、黄表紙『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』を刊行するころには、黄表紙、洒落本作家の第一人者になりました。

ところが1791年、若い頃からの遊蕩生活の経験を生かした洒落本3作が、松平定信の「寛政改革」による幕府の出版禁令を犯したという理由で筆禍を受け、手鎖50日の刑を受けました。これは、京伝の人気がそれほど高いものだったからに他なりません。出版元の蔦屋から、原稿料で充分生活できる金銭をもらっていて、京伝以降、滝沢馬琴、十返舎一九ら、職業作家が次々にあらわれました。

1799年、1801年に刊行した読本『水滸伝』シリーズは、中国の小説とわが国の演劇を織り交ぜた意欲作と世評も高く、1806年の読本『昔話稲妻表紙(むかしがたりいなづまひょうし)』は、大阪歌舞伎で上演されて、大評判となりました。

晩年の京伝は、戯作ばかりでなく、近世風俗の学問的な著述も多く残し、そんな研究に疲れて脚気を患い、56歳で亡くなりました。


「9月7日にあった主なできごと」

1533年 エリザベス一世誕生…1558年、25歳のときから45年間イギリスをおさめ、おとろえかけていたイギリスを、世界にほこる大帝国にたてなおした エリザベス一世 が生まれました。

1962年 吉川英治死去…「宮本武蔵」「新・平家物語」「新書太閤記」など人生を深く見つめる大衆文芸作品を数多く生み出して、国民的作家として高く評価されている 吉川英治 が亡くなりました。

投稿日:2011年09月07日(水) 06:04

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)