児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  今日はこんな日 >  「フランス近代詩の父」 ボードレール

「フランス近代詩の父」 ボードレール

今日8月31日は、フランスの詩人・批評家のボードレールが、1867年に亡くなった日です。

1821年パリに生まれたシャルル・ボードレールは、6歳のとき父が亡くなり、母はのちに将軍となる軍人と再婚しました。ボードレールは、母を奪われた悲しみから義父とは仲が悪く、孤独な少年時代を送りました。中学時代は、ラテン後の詩作や翻訳に優れ、全国コンクールに入賞するほどの能力を発揮しましたが、卒業後は家を出て、自由気ままな暮しをするようになります。

1842年、成人したボードレールは実父の遺産を相続すると、さらに自由奔放に生きるようになり、混血女性に夢中になったりしながら、心の思うままに、詩作をつづけました。いっぽう、フランス政府主催の美術展「サロン」に関する美術評論を出版すると、美術批評家として文壇にデビューを果たしました。特に、評価が二分されていたロマン主義画家ドラクロワに対する熱心な弁護と評価を行い、美術批評をしながらも、独自の詩学を打ち出すという「詩人による美術批評」の先達となりました。1848年の二月革命の時も、革命擁護の筆をふるいますが、やがてアメリカの詩人で作家のエドガー・アラン・ポーを翻訳し、その名をフランス中に広めました。

ボードレールの名を決定づけたのは、1857年に発表した詩集『悪の華』です。この詩集は、風俗を乱すものとして摘発され、そのうちの6編が裁判にかけられ罰金刑を受けました。ボードレールはこれにもめげず、後に35編をつけ加えて第二版を出版、詩人としての名声や地位を確固たるものにしました。その卑猥的、耽美的、背教的内容は、近代人の孤独と苦悩を鋭い感覚でうたいあげた象徴的作品として、後の世代に絶大な影響を与えています。

しかし、父の遺産も散財の限りを尽くして失い、麻薬にふけるなど健康も損なわれ、借金をかかえた暮しぶりはいっそうすさむようになりました。1864年に、ベルギーのブルッセルで生活の立て直しを試みましたが、教会の中で倒れ、パリにもどったものの慈善病院で亡くなったのでした。

死後、7巻もの全集や、生前は陽の目を見なかった散文詩集『パリの憂鬱』が出版されました。


「8月31日にあった主なできごと」

1957年 マラヤ連邦独立…19世紀後半からイギリスの支配下にあったマラヤは、マラヤ連邦として独立宣言をしました。なお、マラヤ連邦は、1963年にイギリス保護国だった北ボルネオ他と統合し「マレーシア」となりました。

1997年 ダイアナ妃交通事故死…イギリスの元皇太子妃ダイアナが、パリ市内で不慮の交通事故で亡くなりました。

投稿日:2011年08月31日(水) 06:37

 <  前の記事 電子を発見したトムソン  |  トップページ  |  次の記事 明治の元老・井上馨  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/2501

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)