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「近代民主政治」 とロック

今日8月29日は、イギリスの政治思想家・哲学者で、「アメリカ独立宣言」「フランス人権宣言」にも大きな影響を与えたロックが、1632年に生まれた日です。

ジョン・ロックは、イギリス南西部サマセット州の法律家の息子に生まれました。ロックの少年時代に父は、清教徒(ピュリタン)革命の義勇軍に加わって活躍しました。ロックは、革命に成功したクロムウェルが政権を握っていた1652年、オックスフォード大学に入学し、哲学と宗教を学び、その後医学と自然科学を修めました。

1658年にオックスフォード大学特別研究員となった後、1665年、外交官としてドイツへ行き、ホイッグ党の中心人物であるアシュリー卿と知り合いました。ホイッグ党とは、1660年に清教徒革命後の王政復古を受けて即位したチャールズ2世には子がなく、弟ヨーク公ジェームズが目されていたもののジェームズはカトリックでした。イングランド議会においてジェームズの即位を認めるグループと認めないグループの間で激しい論争となり、ジェームズの即位を認めるグループが、認めないグループを指して「ホイッグ党」といいました。

アシュリー卿に支持されたロックは、利子率論争で自由放任を主張したり、王権に対する政治・信教の自由を論じたりしましたが、1683年にアシュリー卿が国王チャールズ2世に反発して反逆罪で追放されると、ロックも、卿とともにオランダに亡命しました。

1689年にオランダ総督ウィリアムが、名誉革命でイギリス国王となると、イギリスに戻ったロックは、代表作となる『統治二論』を、帰国したその年に出版しました。この著でロックは、「人間は、生命と自由と財産の3つの権利を守るために、国家をつくったのだから、それが侵されるときは、主権者である人民は、革命によってその権力を変えることは正しいこと」と主張し、名誉革命を理論的に正当化したのでした。この考え方が、のちの「アメリカ独立宣言」「フランス人権宣言」に大きな影響を与えます。また、『人間悟性論』などでは、「観念は感覚し反省するという、2つの経験により人間の心を形づくる」と説く経験論哲学を唱え、イギリス近代社会を支える役割をはたしました。

ロックは、1704年に亡くなりましたが、その哲学は、18世紀前半のホイッグ長期政権を支えたといわれています。


「8月29日にあった主なできごと」

1708年 シドッチ屋久島へ上陸…イタリア人宣教師シドッチが屋久島に上陸。鎖国中だったため捕えられて江戸に送られ、新井白石 の訊問を受け幽閉されましたが、このときのやりとりは後に『西洋紀聞』にまとめられました。

1862年 メーテルリンク誕生…『青い鳥』など劇作家、エッセイスト、詩人として活躍し、ノーベル文学賞を受賞した メーテルリンク が生まれました。

1929年 ツェッペリング号世界一周…全長236mものドイツの飛行船ツェッペリング号は、約12日間かけて世界一周に成功しました。しかし飛行船は、実用的には飛行機にかなわず、現在では、遅い速度や人目につきやすい特長をいかして、広告宣伝用として使われています。

投稿日:2011年08月29日(月) 06:43

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)