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両極を初制覇したアムンゼン

今日7月27日は、人類史上初めて南極点への到達に成功したのち、飛行船で北極点へ到達、人類史上初めて両極点へ到達したノルウェーの探検家アムンゼンが、1872年に生まれた日です。

ノルウェーで海運業を営む家に生まれたアムンゼンは、少年のころに読んだ大好きな本がありました。それは、イギリスのフランクリンという人が書いた「フランクリン探検記」です。2そうの船と129人ものも人を連れて北極探検に挑みましたが、ひとりも到達できません。イギリス人たちは、何度かフランクリンを探し求めたところ、やっと見つけたのが1冊のノートでした。そのノートには、氷の海に閉じこめられ、空腹と寒さとふるえながら、次々に亡くなっていくようすが、詳しく書かれた苦闘の記録で、このノートが「フランクリン探検記」として出版されたものでした。アムンゼンは、この本をボロボロになるまで、くりかえし読み、将来必ず北極点か南極点へ行くことを、心に誓いました。

やがてアムンゼンは、オスロ大学で医学をまなび、卒業後に船乗りとして南氷洋の学術探検に参加。1888年にノルウェーのナンセンがグリーンランド横断したことに感動し、探検家としての志を確固としたものにし、ベルギーの探検隊に加わって1897年から1899年にかけて極地を体験、1903年から1906年にかけて、北大西洋から北太平洋への北西航路を初めて突破。1910年ナンセンからフラム号を譲り受けて、北極点到達を目標に探検準備中、ピアリーによる北極点到達のしらせを受けて目標を南極点に変更、イギリスのスコットと人類初の南極点到達を競って、1911年12月14日、人類初の南極到達をはたしました。こんなアムンゼンの詳しい生涯につきましては、いずみ書房のホームページで公開しているオンラインブック「せかい伝記図書館」16巻目「アムンゼン」をぜひご覧ください。

南極到達一番乗りをはたした後のアムンゼンは、最初の目的だった北極探検を空中から行いました。計画は4度失敗しましたが、1926年飛行船ノルゲ号で、北極点到達と北極横断に成功。2年後にいっしょに乗ったイタリアの探検家ノビレの遭難のニュースを聞き、その捜索におもむく飛行機が墜落して、帰らぬ人となってしまいました。

まさに、子どもの頃の目標を一歩一歩クリアしながら、夢を実現させたアムンゼンには、8世紀から300 年以上にわたって西ヨーロッパ沿海部を支配したバイキングの流れをくむノルウェー人の冒険心と気骨、そして探検家としての崇高な心が流れていたにちがいありません。


「7月27日にあった主なできごと」

1719年 田沼意次誕生…江戸時代の中期、足軽の子に生まれながら、側用人から老中までのぼりつめ、1767年から1786年まで 「田沼時代」 とよばれるほど権勢をふるった 田沼意次 が生まれました。

1887年 山本有三誕生…小説『路傍の石』『真実一路』や戯曲『米百俵』など、生命の尊厳や人間の生き方についてやさしい文体で書かれた作品を多く残した 山本有三 が生まれました。

1953年 朝鮮戦争休戦…板門店で、国連軍代表と北朝鮮代表が、休戦協定に調印して3年にわたる戦争が終わりました。

投稿日:2011年07月27日(水) 07:38

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)